組み立ては悪くないが、強引なトーク
トップ営業マンというと「マニュアルトークをしっかり実践して結果を出している」といったイメージを持つかもしれない。実際、営業トークのマニュアルを作成しているのはトップ営業マンである。
しかし、当の本人はそのトークをまったく使っていなかったりする。私の営業格言で 「稼げる営業マンはマニュアルを無視し、ダメ営業マンはマニュアルトークに忠実」 というものがある。そのことについて詳しく解説させてほしい。
出張先でのこと。時間に余裕があったので、時間をつぶそうと何気なくスマートフォンショップには行った。展示されている最新モデルを見ているとひとりの店員さんが近づいてくる。
私は営業コンサルタントなので、こういった接客は勉強になるし、良いデータになる。またスマホの最新情報も欲しい。ということで少し付き合ってみることにした。
店員 スマートフォンの買い替えをお考えですか?
私 いえいえ、ちょっと見ているだけなんです。
店員 そうですか、いまはどんなタイプをお使いですか?
私 いまはこれです。
店員 そちらのタイプですとそろそろ電池が弱くなってくるころではないでしょうか?
私 そうでもありませんが。
店員 いまそうかもしれませんが、2年近く経過していますし。徐々に弱くなりますからお困りになると思いますよ。
現状確認トークからの、恐怖モチベーション系のトーク。よくあるトークの組み立てだ。あまり私の好みではない。私がそのトークに乗る気がないことを判断した店員さんは、別の切り口で攻めてきた。
店員 お客様、料金プランに満足されていますか?
私 う~ん、分からないですね。
店員 ネットをそれほど使わないのでしたら、いまお使いのプランより30~50%お安くなるケースもあります。
私 そうですか。
店員 最新機種に買い替えればネットのスピートも早くなりますし、いかがでしょうか?
私 いまは考えていません。
店員 数も限られていますし、お好きな色を選べなくなります。キャンペーンもやっていますから!
料金プランのメリットから入り、限定性を伝えクロージング。組み立ては悪くはないが、とにかく強引過ぎる。店員さんのトークをさえぎり「そろそろ電車が来るので、すみません」と言って強引にその場から去ったのだ。