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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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営業の仕事は「売る」ことなのか? 「Buyer Enablment」をめぐる冒険

2024年7月12日(金)13:00~18:20

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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営業改革事例

「The Model」は大企業に合わない? プロダクトチームが主導したTOPPANデジタルの営業改革

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 ビジネス環境の変化に負けず自社を成長させるため、新規事業へ挑戦する企業は多いようです。しかし、既存の組織体制や営業戦略とのギャップに苦戦するケースも少なくありません。そうした中、TOPPANグループ内で新たなソリューション・テクノロジーの開発と事業化を担うTOPPANデジタルは、新規事業のグロースを目指して「プロダクトチーム主導のセールス・イネーブルメント」に挑戦しました。今回編集部では、TOPPANデジタルで新規事業の開発・拡大を担う原井さんと平野さん、プロダクトの開発を担う太田さんにインタビューを実施。なぜプロダクトチームがセールス・イネーブルメントを主導したのか、歴史ある企業が新規事業を立ち上げる際の課題や大切なことは何か、話をうかがいました。

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「SaaS本来の価値」を売れる組織へアップデート

──はじめに、TOPPANグループにおけるTOPPANデジタルの役割を教えてください。

原井 2023年10月、TOPPANグループはホールディングス体制へ移行しました。その中で、TOPPANデジタルはグループ全体のDX事業戦略推進をミッションとし、顧客と自社両方のDXを推進しています。今日お話しするのは、SaaSの新規プロダクトによる新規事業の開発です。我々が開発・リリースした校正自動化サービス「review-it!(レビューイット)」を筆頭に、プロダクトチーム主導のセールス・イネーブルメントに取り組みました。

TOPPANデジタル株式会社 ICT開発センター 開発戦略部 課長 原井隆浩さん
セールスを含むビジネス領域・テクノロジー領域・クリエイティブ領域のBTC領域全般にわたり、中長期スパンの課題を解決する戦略立案と実践を担う。売上創出や開発など日々事業に向き合う現場に代わって、BTC領域それぞれの知見を持つメンバーとともに現場の課題を発見。戦略立案・実践を繰り返すことで解決策を「型」化し、現場へ還元している。

──なぜプロダクトチームがセールス・イネーブルメントを主導したのか、その背景を教えていただけますか?

平野 前提として、TOPPANデジタルには営業組織がありません。プロダクトオーナーや開発チームを主体とし、顧客接点はTOPPANのアカウントセールスが担っています。アカウントセールスは顧客ごとの取引額増加を軸に活動しますが、我々TOPPANデジタルはプロダクトごとの収益増加がKPIです。この組織構造上のジレンマが課題でした。

平野 加えて、印刷業を祖業とするTOPPANグループは、顧客が求める“美しさ”を高い解像度で再現する「受託開発文化」がありました。しかしSaaSはカスタマイズしてしまうと、本来の価値を発揮できなくなってしまいます。これらのギャップを乗り越え、プロダクト軸でビジネスを拡大するには、TOPPANデジタルのプロダクトチームが主体的にセールス・イネーブルメントへ取り組む必要がありました。

──顧客基盤と長年の実績など新規事業開発の基盤が整っている一方、営業スタイルや文化が確立しているからこその難しさもあったのですね。

平野 たしかに。すでに顧客との関係が構築されていますから、新しいプロダクトでも話を聞いてもらえるのは強みですね。一方、アカウントセールスと連携してプロダクトをグロースさせるには大きく3つの課題がありました。

 ひとつが、アプローチ数や商談数を直接コントロールできないこと。いくら我々が「このプロダクトの商談数を増やしたい」と思っても、アカウントセールスに提案してもらわない限り叶いません。

TOPPANデジタル株式会社 ICT開発センター 開発戦略部 グループリーダー 平野雄大さん
TOPPANにて受託開発型ビジネスやシステム開発の上流工程に携わったのち、継続的に収益が伸びるビジネスモデルへの挑戦として校正自動化サービス「review-it!」を立ち上げる。2023年10月のホールディングス化にともないTOPPANデジタルにジョイン。SaaS型ビジネスとしては先行事例となる「review-it!」のグロースにおいてさまざまな施策に挑戦し、その成功例と失敗例を「型」化して他プロダクトへ展開している。

平野 ふたつめが、先ほどお話ししたカスタマイズ文化です。初回商談時にカスタマイズ前提で顧客と合意形成してしまうと、最後までなかなか覆せません。この合意形成プロセスに関与できないのも課題でした。

 3つめが、顧客の生の反応を得られないこと。商談の場で得られる顧客の不満や要望は、プロダクトをアップデートさせる大切な“材料”です。それを自分たちでキャッチできないばかりか、「ビッグクライアントだから要望を聞いてほしい」と個別の要望が集まってくる状態でした。局所最適解でアップデートしていくと、市場におけるニーズがない“違法建築”のようなプロダクトになってしまいます

太田 受託開発文化には、顧客の業界知見を得られるメリットもあります。得た知見をもとに業界全体の課題を解決するビジネスを創り出すこともできますね。一方、SaaS本来の思想や価値を理解しないままカスタマイズして現状のワークフローに組み込んだ結果、効率化につながらず、何も起こらなかったという話もよく耳にしていました。

TOPPANデジタル株式会社 ICT開発センター DX開発二部 部長 太田浩平さん
受託開発の最前線において、顧客へ提供するプロダクトの開発を担う。従来の売り切り型・受託開発型ビジネスの伸び悩みを現場で感じる中、それを打破する一手として自社プロダクトの開発に注目。開発戦略部と連携してSaaS型ビジネスの潮流をキャッチアップし、人材交流をはじめ営業領域の改革に取り組むなど新たなビジネスモデルに挑戦している。

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開発チーム主導で「The Model」型セールスを始動

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この記事の著者

SalesZine編集部 高橋愛里(セールスジンヘンシュウブ タカハシアイリ)

1992年生まれ。新卒で総合情報サービス企業に入社し、求人広告の制作に携わる。2023年翔泳社入社。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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