顧客視点の解像度を高めるインタビューの重要性
向井(ウェルディレクション) 本日は才流の代表取締役社長、栗原康太さんにお越しいただきました。まずは栗原さんの自己紹介と才流の事業紹介をお願いできますか。
栗原(才流) 2008年からBtoBのマーケティングに携わってきており、2018年に才流を立ち上げました。才流は主に、新規事業の立ち上げ支援とマーケティング支援を行っており、売上の8割から9割はこの領域です。新規事業の立ち上げ支援では、プロダクトマーケットフィット(PMF)の検証やテストマーケティングから入ることが多いですね。マーケティング支援では、リード獲得後のインサイドセールスやフィールドセールスのオペレーション改善なども手がけています。BtoB事業の成長に必要な機能を総合的に支援するのが才流の特徴です。
向井 事業の川上から川下まで幅広くサポートされているんですね。その中で栗原さんがとくに大事にされている考え方はありますか。
栗原 今回のテーマでもありますが、まさに「顧客視点」ですね。顧客理解や顧客の解像度を高めることを大切にしています。コンサルティングの前半フェーズではその事業の既存顧客と見込み客それぞれ3~5名へのインタビューを実施します。ひとりあたり1時間ほどお話を聞かせていただき、我々コンサルタントが整理してクライアントにフィードバックを行います。新規事業立ち上げの場合は、10~20人規模の顧客候補へインタビューやアンケートを実施し、仮説検証を進めていきます。
向井 とても大切なプロセスですよね。一方で、顧客理解の重要性がわかっていても、実際にお客様にインタビューしている企業は少ないように感じます。とくにBtoBだとその傾向が顕著ですが、なぜだとお考えですか。
栗原 まずBtoCの場合は自社の従業員が自社商品の顧客になりやすく、自分事化しやすいのに対して、BtoBだと、経費精算システムをつくっている会社の従業員が顧客と同じ経理担当者であるケースはごく一部です。「そもそも顧客を正確にイメージできない」という状況にも陥りやすい。加えて、インタビューを行うこと自体へのハードルの高さもあります。実施のために既存顧客の紹介を依頼すると、営業部門からネガティブな反応が返ってくることも少なくありません。
向井 たしかに、ユーザーインタビューの実施方法に関して、自社の顧客なのにもかかわらず「どうやって声をかければ良いかわからない」「参加者にインセンティブは必要か」などの質問が出ることは多いですよね。
栗原 そうなんです。また、インタビューではプロダクトの改善点などが見えてくることもありますが、「どうすればプロダクトをより良いものにできるか」という視点を持って顧客と向き合えているマーケティング担当者も少ないように感じます。