リードナーチャリングとは
まずは、リードナーチャリングの意味や、混同されやすい言葉との違いなど「リードナーチャリングとは何か」を解説します。
リードナーチャリング:リードの見込み度を高めること
リードナーチャリングとは、「見込み顧客の育成」を意味し、リード(見込み顧客)に対して適切にアプローチを行って購買意欲を後押ししていき、見込み度を高めていくことを指します。
なぜリードナーチャリングが必要かというと、見込み度の高い商談を創出して受注度を向上させるためです。展示会やセミナー、Webサイトなどで獲得した膨大なリードは、全員が同じ購買意欲であるわけではありません。情報収集段階のリードもいれば、他社と比較している段階のリードもいるでしょう。そのため、すべてのリードに対して画一的に商談を行っても、「まだ購入するか決めていない」「検討しておく」などの回答しか得られず、成果につながりません。
そこで、リードナーチャリングで各リードの検討度合いに合わせて最適なアプローチを行い、一人ひとりの購買意欲を高めて次の段階へと後押しすることが重要です。
そうして、見込み度が高まった状態のリードに対して集中して商談を行うことで受注を獲得しやすくなり、効率的に営業の成果を高めていけます。
リードジェネレーションとの違い
リードナーチャリングと混同しやすい言葉に「リードジェネレーション」があります。
リードジェネレーションとは「見込み顧客の獲得」という意味で、多様なチャネルを活用してリードを獲得することです。
一般的な購買プロセスは、商品・サービスを認知して興味を持つことから始まります。リードジェネレーションはまだ自社について認知していない層に対してアプローチを行って興味を持ってもらい、購買プロセスのスタート地点に立ってもらうことが目的です。
具体的には、展示会やWeb広告、オウンドメディアなどを通じて自社ブランドや自社商材について興味を持ってもらい、名刺交換やお問い合わせなどでリードの情報を入手します。リードジェネレーションの次の段階がリードナーチャリングとなります。
リードクオリフィケーションとの違い
リードナーチャリングの次の段階がリードクオリフィケーションです。日本語では「見込み顧客の抽出」や「見込み顧客の選別」などと言われ、見込み度の高いリードを見極めることを指します。
リードナーチャリングを行っても必ずしもすべてのリードの見込み度が等しく高まるとは限らず、検討段階の途中で離脱する層や、見込み度が高まるまでに時間を要する層などもいます。多様な検討度合いのリードの中から、特に購買意欲の高いリード層である「ホットリード」を見極めて抽出することで、受注確度の高い商談を創出できるのです。
リードクオリフィケーションを行うには、「スコアリング」という方法を用いることが一般的です。スコアリングとは、「メルマガを開封したら○点」「資料をダウンロードしたら○○点」「ヒアリングで~~という課題を抱えていたら○○○点」など、リードの反応やアクションなどに点数を付けて加点していく方法で、点数が高いほど購買意欲が高い=見込み度が高いと判断できます。
一定の点数に達したらアポイントを打診すると、見込み度の高い商談を創出できるため受注につながりやすく、商談の成功率が向上します。
リードナーチャリングの役割
リードナーチャリングでリードの購買意欲を後押ししていくことで、見込み度の高い商談を創出できるため、マーケティングセールスプロセスにおいて重要なフェーズです。実際にどのような役割を持つのか、詳しく見ていきましょう。
リードナーチャリングの位置づけ
リードナーチャリングは、前章で紹介した「リードジェネレーション」と「リードクオリフィケーション」の間に位置しているフェーズです。多様な施策によって獲得したリードに対して、情報発信やコミュニケーションなどのリードナーチャリングを行い購買意欲を高め、見込み度の高いリードを選別して商談を創出します。
この「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」「リードクオリフィケーション」の3つのフェーズを合わせて「デマンドジェネレーション」と言います。デマンドジェネレーションは「需要の創出」と訳されるように、すでにニーズが顕在化している層だけでなく潜在的な層にもアプローチしてニーズを創り出し、自社商材を「ほしい」と思ってもらうことです。
そのため、単にリードを獲得しただけでは、すべてのリードのニーズの創出はできていません。獲得したリード一人ひとりに対して適切にアプローチして購買意欲を高めるために、リードナーチャリングは重要な役割を担っているのです。
リードナーチャリングはマーケティングとインサイドセールスが行う
マーケティングセールスプロセスにおいて、リードナーチャリングはマーケティングもしくはインサイドセールスが行うことが一般的です。
近年のマーケティングセールスプロセスは、「The Model(ザ・モデル)」という分業体制を取る組織が多く見られます。分業型の組織の場合、マーケティングセールスプロセスは以下のように分けられます。
- マーケティング
- インサイドセールス
- フィールドセールス
- カスタマーサクセス
このうち、マーケティングはリードを獲得し、インサイドセールスはマーケティングが獲得したリードを引き継いで商談を創出する役割です。一般的には、インサイドセールスがリードに対して個別に電話をかけて課題をヒアリングしたり、属性やニーズなどでセグメントしたグループにお役立ち情報をメール配信したりするため、リードナーチャリングはインサイドセールスの業務内容となっています。
ただし企業によっては、マーケティングが獲得したリード数が多すぎるとインサイドセールスが対応しきれないため、マーケティングがナーチャリングとクオリフィケーションを行い、インサイドセールスへ引き継ぐリードの数を絞り込むこともあります。ある程度の購買意欲のリードのみをインサイドセールスが引き継ぎ、個別にアプローチをかけてさらにナーチャリングを行うのです。
ちなみにThe Modelにおいて、フィールドセールスは実際に商談を実施して受注を獲得する役割で、カスタマーサクセスは受注後の顧客に対してフォローしていく役割を担い、分業体制によって効率的に成果を生み出すことができます。
なぜ注目される?リードナーチャリングの必要性
以前は、いかに多くのリードを獲得するかが重視されていましたが、近年は「リードの見込み度を高めると受注率が向上する」という相関関係があることがわかり、リードナーチャリングが重視されるようになっています。これほどまでリードナーチャリングの必要性が高まっている理由を、4つに分けて紹介します。
インターネットによって情報収集が容易になっている
インターネットが進歩し、スマートフォンやパソコンなどで手軽に情報収集ができるようになりました。そのため、リードは商品・サービスを導入する前に自分自身でさまざまな情報を手に入れられるようになっています。
かつては、テレビCMや新聞広告などで興味を持った商品・サービスについては、店舗や展示会に行ったり営業担当者と直接話を聞いたりしなければ、詳しい情報を得られませんでした。しかし現代ではインターネットで容易に情報収集できるため、店舗への訪問や営業担当者との商談の必要性が薄れています。
米国のコーポレート・エグゼクティブ・ボードが発表したThe Digital Evolution In B2B Marketingの中で「BtoBでは顧客の購買プロセスの57%が、営業担当者に会う前にすでに終わっている」とあり、リードはインターネットを通じて入手した膨大な情報を参考にして、自ら半分以上の購買プロセスを進めていることがわかります。
そのため、リードにとって有益な情報を発信し、リード自身が購買プロセスを進めることを後押しする取り組みが重要なのです。
購買プロセスが長期化・多様化している
現代は購買プロセスが長期化・多様化していることも、リードナーチャリングの必要に迫られている要因のひとつです。
BtoBの場合、意思決定者が複数名存在するため稟議や社内調整などで購買プロセスが長期化しやすく、商材によっては受注まで年単位でかかる場合もあります。
また、インターネットの進歩によって、店舗に行ったり商談を行ったりしなくてもオンラインでも契約・購入できる機会も増えました。リード(顧客)によっては従来の対面ではなく「オンラインですべて済ませたい」場合もあり、購買プロセスが多様化しています。
このような背景から、リード一人ひとりの購買プロセスに合わせた情報提供やコミュニケーションで購買プロセスを進められるよう促すリードナーチャリングが必要です。
市場が成熟して競争が激化している
現代は市場が成熟しており、他社商品・サービスや類似品・代替品などの比較対象も非常に増えている状況です。そのため購買プロセスにおいて他社商品・サービスと比較することも多く、検討途中で離脱するリードも少なくありません。
そのようなリードの取りこぼしを防ぐ目的で、他社商品・サービスよりも安い価格を設定するケースも見受けられます。しかし安易な価格改定は、市場を価格競争へと加速させる要因ともなるため、なるべく避けたいものです。
そこで、オウンドメディアやSNSなどでの情報発信や、電話やメールなどでのコミュニケーションを行うと、リードの関心を自社商品・サービスに向けられるため他社よりも優位に立つことができるでしょう。
リソース不足により休眠顧客をフォローしきれていない
リードナーチャリングは新規獲得したリードに焦点を当てがちですが、既存の休眠顧客に対しても効果的です。
休眠顧客とは、一度自社と取引したことのある顧客のみでなく、「展示会で名刺交換をしただけ」「メールでやり取りをしていたが、途中で返信がなくなってそのまま」といったリードも含まれます。
このような休眠顧客は、一度は自社に興味を持ってくれているため、その後のアプローチ次第では再び検討してくれる可能性も少なくありません。しかしリソース不足の企業は、既存顧客のフォローで手一杯になり休眠顧客にアプローチできていない状況となっています。
すべての休眠顧客に対して電話やメールなどでの個別対応は難しくても、一斉メール配信やSNS運用などでフォローするリソースは確保できるという企業もなかにはあるかもしれません。休眠顧客が抱えがちな課題やニーズにマッチした情報を発信し、自社について思い出してもらうアプローチをしましょう。
小さなことでも地道な情報発信でリードの関心度を徐々に高めていき、購買意欲を後押しすることが重要です。
リードナーチャリングを行うメリット
リードナーチャリングを行うと、売上に影響を与えるようなさまざまなメリットが期待できます。主なメリットを3つ紹介していきます。
リードの囲い込みができる
業種や商材にもよりますが、自社商品・サービスを認知したリードがすぐに購入・契約することはほとんどありません。多くのリードは、情報収集や見積もり、社内での検討・調整などを行ったうえで、購入・契約に至ります。
購買プロセスの途中で競合他社との比較・検討を行い、自社から離脱してしまうケースも少なくありません。
こうした事態を防ぐため、リードの囲い込みが必要です。リードナーチャリングによって継続的にアプローチできていれば、リードと適切な信頼関係を築くことができ自社からの離脱を防ぎます。
「商談に進む前にリードが離脱してしまう」「いつの間にか連絡がなくなっている」などの課題を抱えている場合は、リードとの適切な関係を築けておらず離脱を招いている可能性が高いため、リードナーチャリングによって囲い込みをすることが重要です。
リードの取りこぼしを防ぐ
マーケティングが膨大なリードを獲得できても、すべてのリードを定期的にフォローしていくためには時間も労力も必要です。特に、購買プロセスが長期化しやすいビジネスの場合、1件のリードに対するフォローの回数も多くなりやすくなり、多くの労力がかかります。
しかし少子高齢化の影響で人手不足の日本企業は、リード対応に充てる人的リソースが確保できないため、1件1件のリードに対して丁寧に対応することは現実的ではないでしょう。
そこで、リードナーチャリングを仕組み化し、見込み度や課題などに応じて多角的なアプローチができるようにすることで、無理なく継続的なフォローが実現します。
見込み度の高い商談を創出できる
リードナーチャリングを行わないと、マーケティングが獲得したリードすべてに対してやみくもにアタックすることになりますが、なかには「まだ情報収集をしたい」「直近で購入する予定はない」といった見込み度の低い層もいます。見込み度の低い層はまだ商談を行う段階まで達していないため、フィールドセールスが訪問しても無駄足になりかねません。また、見込み度の低いリードばかり対応すると、優先すべき見込み度の高いリードは後回しになってしまい、競合他社に奪われることもあるでしょう。
少ない営業人員で成果を高めていくには、フィールドセールスが見込み度の高い商談に優先的に集中できる仕組み作りが必要です。
リードナーチャリングを行いリードの購買意欲を高め、リードクオリフィケーションで見込み度の高いリードを抽出することで、フィールドセールスは見込み度の高い商談に集中できるため受注率が向上するでしょう。
リードナーチャリングを行うデメリット
リードナーチャリングはリードの購買意欲を高めるために重要な取り組みですが、デメリットとも言える注意点もあります。それが、リソースと時間がかかる点です。
リードナーチャリングに注力するには多大なリソースが必要です。一人ひとりのリードに電話やメールをしたり、リードの購買意欲を高めるコンテンツを制作したりするには、多くのリソースがかかるでしょう。リードが増えるほど、必要となるリソースは大きくなります。
また、リードナーチャリングを行ったからと言って、すぐに成果が出るわけではありません。時間をかけてリードとの関係性を構築して購買意欲を高めていくため、今すぐ売上を伸ばしたいという場合には向いていないと言えます。
ただし、中長期的な視点で見るとリードナーチャリングは大きな効果が期待できます。リードを獲得して終わるのではなく、しっかりと育成する仕組みづくりを整えることで、デマンドジェネレーションの好循環なサイクルができるでしょう。
リードナーチャリングの導入のやり方・6つの手順
次に、リードナーチャリングを進める方法を紹介します。手当たり次第に施策を行うより、ステップに沿って進めていくことで最短で成果につなげられるでしょう。
1.ペルソナを設計する
まずは、自社の典型的な顧客像であるペルソナを設計します。
マーケティングが獲得した膨大なリードには、業種や役職、年代などさまざまな属性のリードがいて、抱えている課題や社内の購買プロセスなども異なります。そのため画一的なアプローチだとニーズに合っていない情報を提供してしまい、リードの離脱を引き起こしかねません。
リードにマッチしたアプローチを行いリードナーチャリングの成果を最大化するために、まずはペルソナを設計しましょう。
もしリード層をひとまとめにできない場合は、複数のペルソナを設計しておくと幅広く対応できます。
2.カスタマージャーニーを整理する
次に、ペルソナがたどるカスタマージャーニーを整理します。
- 商品・サービスを購入するまでにどのような購買プロセスを進むか
- 各ステータスでどのチャネルから情報収集するか
- 各ステータスでペルソナはどのような感情を抱いているか
上記のようなポイントでカスタマージャーニーを作成しましょう。
3.リード情報を一元的に集約する
営業担当者ごとに属人的に情報管理をしていたり、名刺やデータベースなどにリード情報が点在していたりする場合、リード情報を集約して一元管理することも重要です。一元管理していないと、アプローチの抜け・漏れや重複などが発生しやすくなります。
ExcelやGoogleスプレッドシートなどの活用も一つの手ですが、SFAやCRM、MAツールなどはリード情報の管理だけでなく施策の実行もできるためおすすめです。
4.リードを属性やステータスでセグメントする
一元管理したリード情報を整理し、似通った特徴を持つリード同士でセグメントに分けます。セグメンテーションの方法は「属性」や「ステータス」が良いでしょう。
- 属性:業種、事業規模、役職、部署、年代などの属性ごとのセグメント
- ステータス:購買プロセスにおける検討段階のステータス別のセグメント
また、最初に設計したペルソナに似通ったリード群でセグメンテーションすることも可能です。
セグメンテーションの際には、細かく設定しすぎると膨大な数のセグメントができあがってしまい業務が複雑になるため、適度な数におさめておくことがポイントです。
5.セグメントごとに適した施策を展開する
セグメントごとにニーズや状況が異なるため、各セグメントに合わせて最適な施策を展開します。
たとえば、特定の業界のセグメントには業界特有のお役立ち情報を配信したり、購入まであと少しのステータスのセグメントには個別に電話でフォローしたりするなど、それぞれのセグメントに合わせた施策を立案すると効果的です。
リソースが不足している場合は、セグメントごとに優先順位を付けて優先度が高い順に対応していきましょう。
6.効果検証をしてPDCAを回す
施策を実行したら、必ず効果測定を行います。たとえばメールマーケティングであれば、メールの開封率やURLクリック率などの数値を分析し、効果につながったか評価しましょう。
もし効果が得られていないようであれば、施策のブラッシュアップが必要です。セグメントを見直したり、施策内容を改善したりして、PDCAを回して効果を高めていきましょう。
リードナーチャリングの主な手法・施策
リードナーチャリングには、以下のような施策が活用されています。
- インサイドセールス
- メールマーケティング
- オウンドメディア
- ホワイトペーパー
- SNS
- セミナー、ウェビナー
- Web広告
順に、どのような施策なのか解説します。
インサイドセールス
インサイドセールスは、リードナーチャリングに大きな効果が期待できます。
そもそもインサイドセールスとは、電話やメール、チャット、オンライン商談ツールなどを用いて、非対面で営業活動を進める営業手法・部門です。リードに対して個別に電話をかけて課題をヒアリングしたり、属性やニーズなどでセグメントしたグループにお役立ち情報をメール配信したりして、定期的なフォローにより購買意欲を高めることが主な仕事となります。
リードと密にコミュニケーションを取って購買意欲を高めていく役割を担うため、インサイドセールスをうまく活用できるかどうかがリードナーチャリングのカギとも言えます。まだインサイドセールス部門を組織していない場合はぜひ導入を検討しましょう。
メールマーケティング
LINEなどのコミュニケーションSNSが台頭している現代ですが、まだまだメールマーケティングの効果は軽視できません。特にビジネスシーンにおいては、メールを主なコミュニケーションツールとしている企業も多く、リードナーチャリングの施策としても有効です。
メールマーケティングと聞くと、リストに沿ってメールを一斉送信する「メルマガ(メールマガジン)」をイメージする人が多いかもしれませんが、他にも「セグメントメール」や「ステップメール」などがあります。
セグメントメールとは、属性や購買履歴などでセグメンテーション(分類)したリストに対してメールを送る方法です。たとえば「業界に特化したお役立ち情報」や「展示会で名刺交換をした相手に限定したキャンペーン情報」など、セグメント(集団)に適した情報をメールで送ります。
ステップメールは、「資料ダウンロードしたリードには○日後に事例集を送る」「その○日後に料金プランを送る」「さらに○日後にキャンペーン情報を送る」というように、あらかじめ設定しているシナリオ通りに段階的にメールを送る方法です。
このようにさまざまなメールを使い分け、リードナーチャリングを行います。
オウンドメディア
オウンドメディアは、自社に関連した情報について、記事コンテンツや動画コンテンツ、ホワイトペーパーなどを活用して発信するWebメディアです。自社商品・サービスについての情報だけでなく、自社の顧客層が抱えている課題に関するコラム記事や、業界内でのニュース記事、専門用語集など、多様なコンテンツで幅広い層へアプローチします。
アクセス数が増えればSEO効果が高まり、検索エンジンで上位表示されるようにもなります。検索ランキングで上位になれば今まで自社と接点のなかった層のアクセスにもつながるため、リードジェネレーションの効果も期待できるでしょう。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーはリードジェネレーションの施策として知られていますが、リードナーチャリングでも活用できます。
ホワイトペーパーとは、リードが抱えている課題に関する解決策を、自社商品・サービスを絡めて紹介する資料です。一般的にはWebサイトに設置し、ダウンロードするために氏名や連絡先を入力してもらうことでリード情報を入手できるため、リードジェネレーションの施策として活用されています。
ただし、リードの検討段階によってはホワイトペーパーをリードナーチャリングにも応用できます。たとえば、競合他社との選定ポイントや比較表などをまとめたホワイトペーパーは、比較段階のリードにとって有益な情報となるでしょう。
購買プロセスにおける検討段階に合わせたホワイトペーパーを用意し、幅広い層のリードをナーチャリングできるようにしておきましょう。
SNS
昨今はSNSの利用率が非常に高い水準となっているため、SNSによるリードナーチャリングもおすすめします。
Facebook、X(旧:Twitter)、InstagramなどのSNSで企業アカウントを作成し、情報を発信します。SNSはコメントやDM(ダイレクトメッセージ)もできるため、一方通行の情報発信だけでなく、双方向のコミュニケーションを取れる点もメリットです。
また、SNSは拡散性が高く、投稿内容によっては一気に広まることもありえます。拡散されれば今まで接点を持っていなかった層にもリーチでき、リードジェネレーションの効果も期待できるでしょう。
セミナー、ウェビナー
リードに対して直接的に情報を提供できる場として、セミナーも有効です。対面でコミュニケーションを取れるため、リードの購買意欲を促進する効果が高いでしょう。
ただし、セミナーは会場を用意したり、参加者が会場まで来場したりする必要があり、運営に手間がかかるため、近年ではウェビナー(Webセミナー)も広まっています。
ウェビナーはツールを使ってオンラインでセミナーを開催する手法で、参加者は場所を選ばずに参加できるため集客効果が高いでしょう。また、ツールによってはチャット機能や挙手機能、アンケート機能などが搭載され、多様なコミュニケーションが可能です。
Web広告
Web広告はやみくもに運用するとコストが膨大になりますが、うまく活用することで費用対効果を最大化できます。リードナーチャリングでは、属性や趣味・嗜好などでターゲティングしたリードに広告を配信する「ターゲティング広告」や、自社サイトへ一度訪問したリードに対して広告を表示する「リターゲティング広告」などが有効です。
DM
ここまでオンラインの施策を主に紹介してきましたが、商材によってはオフライン施策のDM(ダイレクトメール)も効果的な場合があります。
DMはハガキや封書などを郵送して情報を届ける方法で、セール情報やクーポン、新商品情報などを送るときに活用できます。相手の氏名・住所といった情報を入手しなければなりませんが、デザインを工夫すると相手の印象に残りやすくなるため、商材やターゲット層によっては効果的な手法です。さらに、DMが届く頃にメールを送信するなど、チャネルを組み合わせると、より効果的なアプローチが可能です。
リードナーチャリングのKPIの設定・主な指標
リードナーチャリングの成果を高めるには、適切なKPIを設定して効果測定を行い、施策をブラッシュアップしていく必要があります。どのような施策を行うかでKPIとして設定する指標は異なりますが、ここではリードナーチャリングの主なKPI指標を紹介します。
メールの開封率・返信率
メールマーケティングは、多くの企業のリードナーチャリングで行う施策です。メールマーケティングでは、メールの開封率と返信率をKPIとして設定します。
リードに送ったメールの数に対して「どのくらいの数のメールが開封されたか」「どのくらいの返信がきたか」を計る指標です。
現代人は日々膨大なメールを受信しているため、自分にとって価値のあるメールだと感じたメールしか開封しない傾向にあります。そのため、いくら多くのメールを送っても開封されなければリードとの接点を持つことすらできません。開封率が低い場合は、タイトルや差出人名を工夫したり、送信する曜日や時間帯を変えたりして検証してみましょう。
また、メール本文に「資料請求をご希望の方はご返信ください」という文言や、アポイント日時を記載して「ご都合のよろしい日時をご返信ください」といった文言を入れている場合には、返信率も重要です。リードが返信したくなるような文言にしましょう。
クリック率
クリック率は、オンライン施策で注視すべき指標です。たとえば、以下のような場合にクリック率が重要となります。
- メール本文に入れているリンクやボタンのクリック率
- オウンドメディアのリンクのクリック率
- Web広告のクリック率
- SNSの投稿に入れているリンクのクリック率
クリック率によって、どのくらいのリードが自社のコンテンツや商材に興味を持っているのかを把握できます。
コンバージョン率
いずれの施策でも、「最終的な目標・成果」コンバージョン率は重要なKPI指標となります。
何をコンバージョンとするのかは施策内容や商材により異なりますが、以下のようなコンバージョンを設定している企業が多いようです。
- 資料請求
- 資料ダウンロード
- 会員登録
- アンケート回答
- お問い合わせ
- 商談申し込み
コンバージョン率を見ることで、最終的な目標が達成できているか把握でき、その施策の妥当性や効果を測定できます。
リードナーチャリングを成功させるコツ
リードナーチャリングがうまくいくと、見込み度の高い商談を創出できるため受注率が向上して成果が高まります。それでは、リードナーチャリングを成功させるにはどのようなポイントに気を付けたら良いのでしょうか。意識すべき4つのポイントを紹介します。
効果を検証する
リードナーチャリングは施策を実行するだけでなく、効果検証をして次につなげることが重要です。そのため、施策に適したKPIを設定して効果を検証しましょう。
前章で紹介した指標のように、定量的に測定できる数値であると、客観的な評価がしやすくなります。たとえば、メールマーケティングなら「開封率」や「URLクリック数」などです。
測定した結果から効果を分析し、施策をブラッシュアップしていきましょう。
適切なツールを活用する
リードナーチャリングを効率的に実行していくためには、適切なツールの活用が不可欠です。
たとえば、SFA/CRMを活用することで、リード情報やアプローチ履歴の一元管理、進捗状況の可視化などができます。また、SFA/CRMはフィールドセールスも利用できるツールのため、リードに関する情報を引き継ぐ際にも便利です。
また、MAツールはメール配信やアクセス解析などの機能を搭載しており、リードナーチャリングの施策を自動的・効率的に実行できます。スコアリング機能も活用すると、リードクオリフィケーションにも役立つでしょう。
下記の記事では、ツール導入のメリットや選び方、具体的なツールも紹介していているので、参考にしてみてください。
関連記事:【種類別】インサイドセールスツール23選!導入メリットから選び方まで
リードの見込み度をスコアリングする
リードナーチャリングでは、リードごとの見込み度を見極めることが重要です。
見込み度が低い層と高い層では求めている情報が違うため、それぞれに最適化したアプローチを行うためにも、各リードの見込み度をスコアリングして可視化しましょう。
また、見込み度が高まったリードを放置してしまうと、時間が経つにつれて見込み度が低下していき、再び最初からアプローチしなければなりません。見込み度が高まったリードを取りこぼさずに優先的に対応するためにも、スコアリングが重要と言えます。
インサイドセールス部門等と連携する
リードナーチャリングは、あくまでも営業の成果を高めるための手段の一つです。そのため、リードナーチャリングが単体で成立しているわけではなく、関連する業務と折り合いをつけながら進めなければなりません。
リードナーチャリングを行う前に、まずはリードジェネレーションで多くのリードを獲得します。また、リードナーチャリングで見込み度が高い商談を創出できたら、次は実際に商談を行うフィールドセールスへと引き継ぐ必要があります。
インサイドセールスがリードナーチャリングを行うと仮定すると、リードジェネレーションを担当するマーケティングや、商談を担当するフィールドセールスと連携し、スムーズに情報共有ができるような仕組みを作らなければなりません。また、フィールドセールスから商談の質をフィードバックしてもらうなど、お互いに連携し合うことで成果を高めていけるでしょう。
まとめ
リードナーチャリングはリード(見込み顧客)を育成して見込み度を高めていくことで、リードの取りこぼしを防いだり見込み度の高い商談を創出できたりするなどのメリットが期待できます。
リードナーチャリングの主な施策はメールマーケティングやSNS、セミナー、Web広告などがあり、自社のリードに適切な施策を展開することが重要です。まずは自社のリードをセグメントに分け、それぞれのセグメントの抱える課題やニーズを分析したうえで、最適な施策を立案しましょう。
「検討段階の途中で離脱するリードが多い」「見込み度の低い商談ばかりで時間が無駄になっている」などの課題を抱えている企業は、リードナーチャリングに注力してみてはいかがでしょうか。