決め手は「網羅性」と「アプローチの初速向上」
新規開拓営業の質・精度を高めるため、ABM推進のプロジェクトを開始したセラク。その際のデータ利用のポイントについて、安部氏は次の4点をあげた。
- 外部の企業データ提供サービスとSFAの連携
- SFA内の自社の顧客データに外部の最新企業データを付加
- SFA内のデータがクレンジング・名寄せされて一元化される
- 営業担当者が得た情報を管理し、SFAへ連携する
安部氏は「新規営業の『狙い撃ち』リストをつくるうえで、質の高いデータを保持・更新し続けることが必須」と強調。しかし従来は企業情報を営業担当者が手入力することで、未入力や入力ミス、重複登録などのトラブルが生じていた。ターゲットを明確にできない限り、PDCAを回して営業戦略を検証することは不可能と考え、正確性・網羅性の高いユーソナーのデータベースを導入したと振り返った。
また、全国に事業所があるセラクにとって、ユーソナーのデータベースが全国の企業情報を網羅していることも魅力的だった。「企業単位はもちろん、支店や事業所など拠点単位でも網羅されていることが、営業活動において有効に働いた」と安部氏は言う。
ユーソナーの導入以前、セラクではMAツール「Account Engagement」、SFA/CRM「Salesforce」、BIツール「Tableau」などを活用していたが、唯一テクノロジーとして不足していたのが「ABM」だった。現在は全体のシステム構成の中で、新規リードの最初の接点部分にユーソナー製品を位置づけ、事業部・支社含めて10を超える部門、100名ほどの営業担当者が活用している。
ユーソナー製品の主な活用用途は「(1)新規開拓営業」と「(2)一部の部署のみ接点がある企業への深掘り営業」のふたつだと安部氏。とくにリプレイスにあたって経営層を説得するため、最短で投資を回収することを意図して(2)に注力したと言う。
「たとえば勘の良い営業なら、横浜支店に取引がある顧客企業について、名古屋にも拠点があるのではないかと調べるでしょう。しかしユーソナーのツールを使えば、すでに取引があるかどうか、当該の企業が自分の担当エリアに拠点を置いているか等がすぐにわかります。そのため営業アプローチの初速が上がり、成果が出ているのです」(安部氏)
さらに新規開拓ターゲットの決定では「Rating2.0」へ過去3年間の企業の取引実績を取り込み、アプローチの優先順位づけを行った。組織規模などのような単純なデータではなく、自社ウェブサイトへの来訪履歴や過去の接点など行動の履歴を踏まえてスコアリングを行い、上から順にアプローチしていく。加えてアウトバウンド活動では、自社ウェブサイトにリアルタイムでアクセスした顧客企業がバイネームでわかる「ライブアクセス」機能を活用しているという。