導入から1年未満で「ROI目標対比180%超」を達成
こうしたSalesforceとユーソナー製品の連携によって、ABMの推進においてどのような成果が得られたのか。安部氏は次の4つを成果として示した。
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コスト4割減
個別に導入していた企業データベースと名刺管理ツールをユーソナー製品に一元化したことで、コストを4割削減できた
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ROI目標対比180%を達成
「初年度で投資を回収する」という目標に対して、導入から1年足らずでROI目標対比180%超を達成するなどABM戦略が一気に加速した
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営業の民主化
営業担当者自身がデータに基づくターゲットの選定・リスト作成を実行できるようになり、自律的にリストを作成・活用する文化が生まれた
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デジタルセールスの文化
データ活用によるリスト作成から発展し、デジタルセールスを進める営業カルチャーが根づいてきた
「こうした成果が出せたのは、当社との相性が良かったとも言える」と安部氏。成果が出た要因として、同社の商材は数百万~数千万と単価が高いためLTVに直結しやすく、効果が出やすかったこと、Salesforceの導入支援を通して社内に営業系システムの導入・活用体制と推進方法のメソッドがあったことを挙げた。とはいえ、決して余力があったわけではないという。「人員の配置を含め、システムの導入・活用体制の構築に会社として投資できたことが非常に大きかった」と強調した。
さらに安部氏は「実は、導入初期段階は少し右往左往していた」と明かす。システム導入プロジェクトはセラクの経営戦略部門を旗振り役に、営業シニアマネージャーをアサインして始動した。しかし経営戦略部門には営業現場への高い解像度が、営業シニアマネージャー層にはシステムに対する知識が不足していたという。そのため「何のためにどのようなかたちで使うか」が明示されないままシステムをリリースし、数日の間、誰も使わない状態が生じてしまったのだ。
この反省を活かし、現在は経営戦略部門に加え、より営業現場に近い横断部署である営業企画部門、営業系システムやSalesforceを得意とするセラクCCCが参画し、プロジェクトを再スタートした。さらにシステムを前向きに使ってくれそうな若手の営業担当者をプロジェクトメンバーとして招集し、目的やゴールを共有して進めることで成果につなげていった。
セラクがぶつかった壁について、「システム解約の理由としてよく起こること」と湯浅氏。それらの課題を乗り越えて同社が成果を創出したポイントとして、部署横断でプロジェクト化することにより目的意識を共有したこと、DXに関心のある若手営業担当からスモールサクセスを積み上げたのち全社展開していったことを挙げた。
「この2点は、他社においても再現が可能と言えるのではないでしょうか」(湯浅氏)