転職支援という“ブルーオーシャン”を見いだし、自ら飛び込む
――営業としてのキャリアのスタートについてお話ください。
大学を卒業して、リクルート人材センター(現:リクルートキャリア)に営業職として入社しました。転職がマイナーだった時代で中途採用の支援事業社は非常にめずらしく、しかも女性の営業職は同期で唯一、社会全体でも少数派でした。記念受験も含め、航空会社のキャビンアテンダントが女子大生の人気職だった時代なので、私の就職活動は逆張りも逆張りといえるでしょう。でも、あえて初めから狙っていたんです。
高校生のころ英語が得意だったので、大学でも英語学科を専攻したのですが、入学してみれば、帰国子女や留学経験者など私よりも英語ができる人ばかり。すっかり自信をなくし、入学3日目には「就職するときはがんばれば勝てるところに行こう」と心に決めていました。競合がひしめくレッドオーシャンではなく、これから新しく成長するブルーオーシャンで活躍したいと考えたのです。
そして、就職活動が始まった大学3年生のときに出会ったのが「スカウト」という本でした。米国では自分の価値を上げ、成長するための転職が当たり前。そのために転職エージェントが大きな役割を果たすという内容で、驚くと同時に大きな可能性を感じました。当時の日本はまだ終身雇用や年功序列が一般的でしたが、きっと近いうちに日本でもそうなるに違いないと直感したのです。そこで転職エージェントがないかと調べてみると10社も見つけられず、その1社がリクルートでした。そして、自分で成果を出して評価されたいという思いから、一般職ではなく総合職を選んだのです。同期の女子社員は私以外全員が「一般職」入社という時代でした。
――当時から営業職には不可欠な”目利き”のような感覚が備わっていたんですね。
偶然というか、「考える機会に恵まれた」といえば、そうなのかもしれません。英語力に対する自信喪失が新たな道を探る原動力になりました。また、大好きな父が起業して一番苦労していたのが「人」だったので、それを支援できるような仕事に就きたいとずっと思っていたので、本を読んだ時に「これだ!」と確信できたんです。
さらに入ってみれば女性の総合職は1名だけで目立ってしまうわけですよ。それならとことん目立とうと思い、入社式で「MVPをとる」と宣言しました。そうなったら、もうがんばるしかないですからね(笑)。毎朝いちばんに出社して、飛び込み営業も電話かけも人一倍努力したつもりです。それで入社1年目から売上1位、全社でもMVPを獲得できたんです。でも、すでに差がついているレッドオーシャンな環境だったら、そこまでがんばれたかどうか。私以上に優秀な女性社員はいたでしょうし、そのなかで突出できたかどうか。また、競合がたくさんいるので、がんばっても成果に直結するとは限らないでしょう。だからこそ、伸びしろの大きい業界で「がんばれば成果が出る」環境に身をおけて本当によかったと思います。