“顧客の問い合わせ”は成約のチャンス! 確実に成約へつなげる方法
問い合わせや商談の場で「こういうことはできますか?」と顧客からたずねられた際、「申し訳ございませんが、あいにく弊社では扱っておりません(できません)」と答えてしまうことはないでしょうか。
「できますか?(ありますか?)」と問い合わせてくれるのは、自社の商品・サービスに少なくとも興味関心を持っているからであり、「成約の可能性が高い見込み客が目の前にいる」と認識しなくてはいけません。「できません」と断るのは、せっかくのチャンスをみすみす逃す非常にもったいない行動です。今回は、このような成約のチャンスを最大限に活かす方法についてお伝えします。
「赤い自転車」の話
私が実際に体験した事例をご紹介しましょう。あるとき、私の子どもが「赤い自転車が欲しい」と言い出しました。足が不自由なため自転車に乗るのは難しいと思われましたが、「無理だからやめなさい」と説得するのではなく、挑戦したうえで自転車に乗る難しさを理解することも大切です。無駄になるのを承知で、自転車を買うことにしました。
「子どもが乗れるサイズで、補助輪が取り付けられる赤い自転車はないか」とネットで探したところ、あるメーカーの自転車を発見。さっそく、家からいちばん近い自転車販売店に電話で問い合わせました。
私「●●というメーカーの××というモデルの赤い自転車が欲しいのですが、取り扱いはありますか? 」
店員「ああ、うちでは扱っていませんね」
双方「……」
私「わかりました。では結構です」
次に別の自転車販売店に電話したところ「店頭には同モデルの別の色の自転車しかありませんが、赤色も取り寄せられます」と言われたため、お店に見に行きました。しかし試乗してみた結果、その自転車は私の子どもには小さく、うまく漕げないことがわかったのです。
購入をあきらめかけたところ、店員さんから「補助輪が取り付けられたら良いですか?」と質問されました。そうだと答えると、もう少し大きなサイズで、補助輪が付けられる別の自転車を提案してくれたのです。今度は漕げましたが、赤色ではありません。子どもに意向を確認すると「赤じゃなくてもいい」ということになり、その自転車を購入しました。
1軒めの自転車販売店では「取り扱っていません」と言って終わり。私には購入する意思があったにもかかわらず、それ以上たずねようがなく、そこで終了しました。一方、2軒めのお店は「これなら対応できる」と代替案を示したことで、成約のチャンスをものにしたのです。
この「代替案の提示」を、コピーライティングの世界では「オルタナティブポジショニング」と言います。次ページで、そのポイントを詳しく解説しましょう。