改善するべき項目をどう見つける? 営業ならではの視点
BtoBの顧客体験を改善するための手法として、顧客に一連の体験を振り返ってもらう「リレーショナル調査」という分析手法があります。利用するのはNPS(ネット・プロモーター・スコア)で、顧客に「購買体験全体」と、「見積もり」や「手続き」「納期」「商品の品質」など、それぞれの項目について点数をつけてもらいます。その後、相関関係のある項目を分析し、NPSに影響を与える項目を特定します。
「NPSに影響を与えている項目」を優先的に分析するには、多変量分析など統計学の知識が必要ですが、平たくお伝えすると、各設問の「TOP2選択率」や「TOP1選択率」を占めるものと、顧客体験に相関関係があると判断します。
そうすると優先的に改善すべき事象が見えてくるので、改善するべき事象をさらに明確化し、その部分を改善していくというのが基本的な流れです。
ただし、この改善アクションを実行に移す前に、BtoBの営業組織が考慮するべきなのは、「売上へのインパクト」です。
マーケティングや営業戦略を立てる際の考え方として「LTV(顧客生涯価値)上位 2〜3割の顧客が、売上全体の7〜8割を占める」というものがあります。つまり総数で考えると、どうしても低LTV顧客の割合が多くなり、施策に反映される声としても、低LTV層の声が強く出ることになります。
しかし、売上インパクトを考えると、まず注目すべきは高LTVの顧客の声。そのため、キードライバー(影響を与える項目)を分析する際には、顧客全体だけでなく高LTV顧客/低LTV顧客の比較を行い、改善施策を考えることが必要です。
もちろんこれは、低LTV顧客をないがしろにして良いという意味ではなく、優先度の問題です。最初に高LTV顧客の不満ポイント解消から進めることで、組織としても早く効果を実感でき、CXプログラムを推進を加速させることができるでしょう。