事業部の拡大にともない、業務改善へチャレンジ
──高橋さんのキャリアについてかんたんに教えてください。
2006年に学生向け就活サイトのコピーライターとして新卒入社し、IT・ウェブ業界の求人を担当しました。リーマンショックや事業クローズを経て中途採用を支援する事業部へ異動し、管理職も経験しながら10年ほど現場で制作に従事しました。そして、2016年以降は業務改善を担っています。
──現場のコピーライターであった高橋さんが、なぜ業務改善を進める役割に抜擢されたのでしょうか。
弊社の主力事業が転職サイト「エン転職」です。2014年、サイトリニューアルにより業績が急拡大しました。「求人を掲載したい」というオーダーが増え続け、納品を担う制作部のキャパシティがひっ迫。納品が追い付かないことによるチャンスロスが発生しただけでなく、労働時間が長くなり、制作部メンバーの退職リスクも上がっていきました。この課題を解決するため、制作部内の企画組織「制作企画」が発足したのです。納品工程を理解していて、かつ問題解決思考がある人材、ということで私へ声がかかりました。
“負荷の移転”は何も生まない 営業との共通課題を探る
──制作企画として制作部・営業部の間に立ち、どのような壁にぶつかったのでしょうか。
制作企画では、正社員業務の分業化(アシスタントへの業務切り出し)、業務フローの見直し、AI導入、ノーコード/スクラッチ開発……コピーライターを本業へ専念させるため、さまざまな手を打ちました。その中で、制作部へ原稿制作を発注する、いわば「社内の顧客」である営業部との調整も発生したのです。
最初はうまくいきませんでした。今思えば、制作部の事情を営業部にただ主張するばかりになっていたのです。その様子を見た事業部長から「論理性や問題解決はまったく心配していないけど、他部署とのコミュニケーションが赤点。まずは対話してみなさい」と言われ、ランチ会や各拠点への出張など、とにかく営業メンバーと接点を持ちました。そうして営業部の話に耳を傾けたところ、だんだん本音を話してもらえるようになったんです。
そこでわかったのが、非効率で困っているのは営業も同じだということ。負担を押しつけあっても仕方がないんですね。当時の制作部長も、よく「負荷の移転は絶対だめだ」と言っていました。制作部の業務を改善するなら、営業部の課題も解決する策を探さないといけない。そのように思考が変化したことで、施策の進め方も変化しました。
たとえば、営業部に向けた勉強会。オープニングで「こういう課題はありませんか? 」と、営業部の課題を伝えて共感を得る。「課題を解決する方法を考えました」と期待してもらう。最後に「この作業だけお願いします」と伝える。すると「それならやろう!」と協力を得られるようになったんです。両者の課題を整理し、両者がWin-Winになる解決策を探ることが本当の問題解決である。企画職の醍醐味を味わいました。