トップ営業ほど“スランプ”が辛い⁉
トップ営業スタッフと聞くと、雲の上の人ように感じる。ダメ営業スタッフ時代の私はトップ営業スタッフを“殿上人”だと思っていた。常に「ああなれたら良いなぁ」とあこがれていたものだ。
しかし、実際に近くで見ると現実は違う。トップ営業スタッフだって同じ人間、浮き沈みはある。悪い流れになり、負のスパイラルに陥ることもあるのだ。
しかし、トップ営業スタッフはそこから抜け出す方法を体得している。それぞれ方法は違うが、そうなったときの対処法を準備して実行しているのだ。そのため最速でスランプから抜け出し、再び結果を出す。これが凡人営業スタッフとの成績の差となる。
私はダメ営業スタッフとし7年間過ごしたのちトップ営業スタッフとなった。ダメ営業スタッフの辛さも、トップ営業スタッフの辛さも両方理解できる。長年ダメ営業スタッフとして過ごしてきた私の経験からすれば、ダメな人はノウハウよりも「考え方」に問題がある。
いちばんの問題はネガティブループである。一度失敗した苦い経験を再び味わいたくないため、行動が消極的になる。消極的になればチャンスはつかめない。チャンスがつかめないから成績が落ち、どんどん自信を失っていく。さらに消極的に。こうして負のスパイラルが始まり抜け出せなくなる。私自身、これにずいぶん苦しんだものだ。
接客時にあるお客様から「勝手に説明しないでください。迷惑なので」と冷たく言い放たれたことがあった。一度こういったことを言われると、悪いイメージが頭から離れなくなる。次の接客でも「また冷たく断られるのだろう」と消極的になり、当たり障りのない話だけをする。こうして次々にチャンスを失っていった。
商談でもそうだ。痛い敗戦がトラウマになる。傷つきたくないから自信を持ってクロージングできない。だから良いお客様を逃してしまう。そしてますます自信を失っていく。もちろんそれが良くないことは頭ではわかっている。でも切り替えられない。こうしてどんどんドツボにハマっていった。
この負のスパライルからは、トップ営業スタッフになってからも完全には解放されなかった。それどころか、ダメ営業スタッフ時代よりダメージが痛烈だ。ちょっとでも売れない時期が続くと、「アイツも終わったな」と囁かれるようになる。それが耳に入るのがなんとも言えないほどの苦痛だった。ダメ営業スタッフ時代のときとは、比較にならないほどのプレッシャーだ。このとき初めて「トップ営業スタッフも楽じゃないんだな」と実感した。