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営業組織の成長を牽引するセールス・イネーブルメントの役割と、立ち上げの鉄則

2019/03/22 07:00

 近年、B2B営業で“セールス・イネーブルメント”が注目されています。Sansan、Salesforce、Marketoなど多くの成長企業がセールス・イネーブルメントを導入しており、営業の教育システムを改革することで、営業組織の飛躍的成長を牽引しています。本連載では、私がSansanでセールス・イネーブルメントを立ち上げた経験をベースに、導入のベストプラクティスをお伝えしながら、本質に迫りたいと思います。営業組織を強化して飛躍的成長を遂げたいと考えている経営者や営業責任者はもちろん、営業マネージャーや営業担当の方にとっても、実務に活きる内容にしたいと考えています。

営業パーソンの能力を高める、セールス・イネーブルメントの役割

 一般的にセールス・イネーブルメントとは、営業教育プログラムの構築/デリバリーを行い、営業パーソンの生産性を向上させることをMissionにした組織です。元々、SalesforceやMarketoなどの米国企業で導入が進んでいたセールス・イネーブルメントですが、先日『営業力を強化する世界最新のプラットフォーム セールス・イネーブルメント』(バイロン・マシューズ、タマラ・シェンク/ユナイテッド・ブックス〔きこ書房〕)の日本語訳版が出版され、Yahoo! Japan、NTTコミュニケーションズなど、日本企業でもセールス・イネーブルメントを導入する企業が増えてきました。

 セールス・イネーブルメントが注目されている背景には、営業パーソンに求められるスキルセットの変化があります。インターネットの発達で、ユーザが商品や活用事例などの検討に必要な情報を手に入れやすくなったことで、営業パーソンに求められる役割が、商品や活用事例などの情報提供から、顧客ごとに個別化されたコンサルティング提案に移行したのです。そのため、営業パーソンに求められるスキルセットのレベルが高まり、営業教育が注目され始めました。

 そのような流れに合わせて、セールス・イネーブルメントは営業の達成率向上や新人営業パーソンの立ち上がり速度向上などのKPIを設定し、商品知識や事例トークなどのプログラムはもちろん、コンサルティング営業に必要な課題設定力やヒアリング力などの本質的なビジネススキルを鍛えるトレーニングや、営業マネージャー向けのコーチングプログラムなどを提供してきました。書籍『セールス・イネーブルメント』によると、セールス・イネーブルメントを導入している企業はそうでない企業と比べて、営業達成率が18~22%、成約率が28%程度向上しているという結果も出ています。

セールス・イネーブルメントは、目的ではなく手段。
営業組織のボトルネックを特定し、包括的にアクションする

 このように営業パーソンの教育で成果を出しているセールス・イネーブルメントですが、セールス・イネーブルメントの導入を検討する際は、「果たして教育プログラムを展開するだけで営業組織は強くなるのか?教育以外に取るべきアクションはないか?」という問いについて考える必要があります。セールス・イネーブルメントの導入を考えている企業の最終目的は、営業パーソンの強化ではなく、営業組織の強化にあるはずだからです。

 営業パーソンのスキル問題は目に見えやすく表面化しやすいため、営業組織の課題として浮上しやすい特性があります。しかし、営業組織の真の課題(ボトルネック)は、実は営業パーソンのスキルセットの問題ではなく、ヘッドカウントの不足、営業マネージャーのマネジメントスキル、セールスプロセス、評価制度などにあるケースも多く、単純に教育だけが課題、という組織は少ないのではないでしょうか。

 そのため、営業パーソンの教育のみによって営業組織を変えようと思っても、他にボトルネックが存在すれば期待される成果は上がりません。故に、経営者や事業責任者は、セールス・イネーブルメントが提供する教育のみで営業組織を強化しようとするべきではありません。また、セールス・イネーブルメントの責任者や担当者は、教育以外のボトルネックにも目を向けないと、投資効果を出せずに経営者や事業責任者からの支援を受けられなくなります。そのため、どちらの立場であっても教育を単体で考えるのではなく、教育とセットで営業組織のボトルネック改善に向き合う必要があります。あくまでも、セールス・イネーブルメントが提供する教育プログラムは、目的ではなく手段である、と認識することが大事だということです。

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