上司と部下の評価ギャップに注目 より精度の高い育成施策の実現に
(2)育成テーマ抽出「アセスメント」
スキルマップの整理後は、注力するべき重要な育成テーマを定量的に把握するべく、スキルマップに対する営業メンバーの現時点での達成度を確認する必要がある。アセスメントを実施する際のポイントとして、山下氏は「上長と部下の評価のギャップ」に注目することを推奨した。
「それぞれの評価の差が可視化されると、従来『何か話がかみ合わない』と思っていたところが『上長はできていないと思っていたスキルが、部下自身はできていると1ポイント高く評価していたのか』といったかたちで顕在化されます。この可視化が、具体的な施策につながっていくのではないでしょうか」(山下氏)
(3)育成施策の提供
育成課題の抽出により「トレーニング」「コーチング」の テーマが決まれば、いよいよ施策に落とし込んでいく――これには、知識を学ぶための「トレーニング」と、実際に現場で活かすための「コーチング」が有効であるという。しかし、トレーニングを提供するにあたり、リソースの観点からそれらの質の担保が難しいと考える企業も少なくないだろう。そうした企業に向けて同社では実践的なトレーニングコンテンツの提供も行っているという。
「当社がリモートや対面でトレーニングをご提供することももちろんありますが、独自開発したアプリケーションには、ソリューション営業に特化した多様なトレーニングコンテンツを標準搭載しています。こういった外部のリソースを利用いただくのもひとつの手ですし、自社のハイパフォーマーにZoomなどで5~10分ほど成功事例を話してもらい、動画としてノウハウをシェアするやり方なども考えられます」(山下氏)
学んだことを現場で実践するためのコーチングでは、マネージャーの役目が鍵となる。商談レビューや進捗管理などに関するアドバイスは、多くのマネージャーが取り組んできただろう。しかし、学んだことを自主的にアクションに活かしていくためのスキル育成――いわゆる「ピープルコーチング」までをプログラム化して実践している企業は少なく、マネージャーの個人的なノウハウに依存し、属人化しがちであるという。山下氏はこうした課題に対しても、スキルマップの活用がポイントになると説明した。
「スキルマップを活用し、定期的な1on1でスキルの伸長を確認していくと、従来の『トレーニングを受けて終わり』からもう一歩踏み込んで、実際にできるようになっているかどうかまで可視化されます」(山下氏)
営業改革の要となるセールス・イネーブルメント まずはスモールスタートで
実際に社内でセールス・イネーブルメントに取り組む際、どのような体制から始めるべきか。山下氏は、一気に営業組織全体に展開を試みることのハードルの高さを指摘したうえで「まずは施策が合致するチームでスモールスタートするのが良い」と勧め、営業企画部門を中心に部門横断でプロジェクト化する方法を提案した。重要なのは「まずは作成したプログラムを一巡させてみて、自社にとって本当に効果があるのかを検証すること」と山下氏。効果があるとわかった段階でイネーブルメントチームを立ち上げるなど、組織的に広げていく方法が効果的であると語った。
セッションの終盤、山下氏は「セールス・イネーブルメントは断片的な取り組みではない」と改めて強調。そして、次の言葉でセッションを締めくくった。
「成果と行動、知識・スキル、これらを具体的に紐づけて、データで検証しながら改善サイクルを回していく。この一連の流れで持続的な営業組織の成長を目指すものです。従来こうしたイネーブルメント領域を一気通貫で管理するソリューションはありませんでしたが、まさに現在当社が提供しているので、ご興味のある方はぜひお声がけください」(山下氏)
“成果起点の営業育成”が実現!イネーブルメントサービスのご紹介
「なぜ営業能力の差は縮まらないのか」「なぜエース営業に依存しチームの底上げができないのか」「なぜOJTだけでは成果にばらつきが出てしまうのか」「なぜトレーニングを実施しても効果を感じないのか」「なぜ新人営業が即戦力になるまで時間がかかるのか」
このような問いに真っ向から向き合う「営業組織・営業パーソンの成功を本気で考えた新しい育成の仕組み」こそが、私たちが考えるイネーブルメントのコンセプトです。