数百万円の出展費用……効果を得られていますか?
製造業界のBtoB企業にとって、展示会への出展は営業・販促活動の中核に位置づけられる重要なイベントです。私はこれまでに2,000社以上のBtoB製造業の営業・販促活動に関わってきましたが、リード(見込み客)データの大半を展示会で獲得しているという声をよく耳にします。
しかし、そのように重要なイベントであるにも関わらず、展示会で十分な費用対効果を得られている企業はわずかです。展示会へ出展すると、出展費、ブース装飾費、人件費、カタログやノベルティの制作費などで数百万円のコストがかかってしまいますが、それに見合う費用対効果を得られていないと悩んでいる企業は多いのではないでしょうか。
実は、このような悩みを持つ企業の多くは、費用対効果を上げるための施策を十分に講じられていません。展示会の費用対効果を上げるもっとも確実な方法は、展示会で集めたリードデータを有効活用することですが、多くの企業が一部の顧客にのみ営業フォローをしているのが現状です。また、展示会場を回っていると、顧客と話した内容のメモをとらずに、カタログだけ手渡している企業も多く見受けられます。
展示会の費用対効果を上げるためには、展示会に対する意識やフォローの方法を大きく見直す必要があると言えるでしょう。
「ハイランク顧客のみフォローすれば良い」という誤解
展示会後の営業フォローの方法に関しては、多くの企業がある誤解をしています。展示会後の営業フォロー方法をヒアリングすると、全体の3〜40%の企業が、来場者をA〜Eというふうにランクづけし、AやBなどのハイランクな顧客にのみ営業フォローを行っていると回答しました。
ランクづけや営業フォローを行っている企業は、何もしていない企業に比べると展示会を有効活用できているほうです。しかし、「展示会後はハイランク顧客のみ営業フォローすれば良い」というのは誤解であり、大きな機会損失を生んでいる恐れがあります。
たとえば、次の図をご覧ください。当社での調査結果をまとめた図で、製造業界のBtoB企業が展示会で獲得した顧客リストの内訳を表しています。ご覧のとおり、営業フォローを行うハイランク顧客は全体の20%程度に留まります。その中ですぐに商談につながるのは3〜40%のみであり、顧客リスト全体に占める割合は6〜8%とごくわずかです。
この結果から、展示会来場者の多くは情報収集が目的であり、すぐに商談につながる顧客と出会える確率は非常に少ないことがわかります。しかし、BtoBビジネスにおける商談化はタイミング次第であり、1~2年後という中長期スパンで見ると商談につながる可能性も十分にあります。「展示会後はハイランク顧客のみ営業フォローすれば良い」と誤解をしている企業は、将来の商談機会を失っているかもしれないのです。
ハイランク顧客へ営業フォローをかけることは、もちろん重要です。しかし、展示会の費用対効果を上げるためには、残りの80%の顧客に対しても中長期スパンでフォローを行い、検討案件が発生したタイミングですぐに商談を実施できる状態を維持することが極めて重要だと言えます。