「営業はいやだな……」から営業の面白さを感じるまで
山下(R-Square & Company) 島田さんの営業としてのキャリアからうかがえますか。
島田(CCCマーケティング) 正直なところ、「“広告”ってなんかかっこいいじゃん」という理由だけで人材紹介や求人広告のビジネスを展開する企業に就職し、営業職としてのキャリアをスタートさせました。ただ、ドラマや映画で描かれる営業担当者はひたすら訪問先で「お願いします!」などと頭を下げて、営業成績を達成したらホワイトボードに花がつき、達成しなければ営業部長にガミガミ叱られる。そんなイメージがありましたから、「営業はいやだな……」と思っていました。入社後は早速、「君は港区西新橋1丁目から5丁目の担当ね」と言い渡されました。
山下 イメージどおりだったと(笑)。割り当てられたエリアに対しての飛び込み営業ですか?
島田 はい。朝礼が終わったら、担当エリアのいちばん端のビルの上からノック。「社長さんか、人事の責任者いらっしゃいますか?」という営業を2年くらいして。最初は度胸もなく先輩から言われたとおりにこなしていたのですが、「量が質をつくる」の言葉どおりで少しずつ営業として成長していきました。右も左もわからなかった自分によくしてくれる経営者の方もいて、思いがけない大型受注をしたときは「営業ってこんな喜びがあるんだな」と思えるようになりました。
世の中が見えてきて「売る」という仕事を突き詰めて考えたときに「マーケティング」を学ぶことに興味が湧いてきました。インターネット・バブルと言われた当時、創業したばかりのマーケティングリサーチ企業の求人を見つけたんです。「ネットで、ITで、リサーチ」というのがまたかっこよく見え、転職しました。
入社後は総合代理店を担当したのですが、まだまだ地道な営業の時代です。代理店のビルのいちばん上から下まで回り、執務フロアで「ちょっといいですか」と名刺交換をしていました。当時はさまざまな営業作戦があったのですが、そのひとつに営業担当者の大きな顔写真と連絡先を印刷したうちわを配るというものがありまして。あまりにも配るものだから、あるフロアでは「島田うちわ」が立てられすぎて「なんのキャンペーンだ」と言われることもあったくらいです。うちわ経由の問い合わせもたくさんいただけて、効果も良かったんですけどね。
営業手法こそ昔ながらですが、営業としての仕事の質はさらに変化していきました。求人広告は顧客が「人が欲しい」と思うタイミングを掴んで受注するものでしたが、リサーチにはプロモーションの効果測定もあれば、企画のためのデータによる重みづけなどさまざまな需要があります。「顧客の経営課題をもとにした提案をしたいから一緒に何かできないか」と依頼されることもあり、世の中ではこのようにお金が発生してサービスの幅が広がっていくのだなと視界が広がったものです。13年所属した結果、「営業職=ネガティブ」ではなく、顧客課題に合わせてソリューションを提供するおもしろい仕事だという思いを深めました。
山下 アナログな営業からスタートされて、複雑な売り物を経験しながら営業としての視座もどんどん上げていかれたのですね。CCCマーケティングさんにはどんなきっかけで入社されたのでしょう。
島田 営業として自信がついたこともあり、友人と一度起業をしました。価値を提供しお金に変えていくという営業経験は経営者として非常に役立ちましたが、友人とふたりで始めた事業を大きくスケールさせる難しさも感じていました。そんな折に、CCCマーケティングと出会うきっかけがありました。7,000万人を超える会員基盤をはじめ、実店舗の購買データなど潤沢なアセットを活かして顧客にマーケティングソリューションを提案できるのは非常に魅力的だと感じ、こちらで全力でやってみようと決断したんです。