顧客データの一覧性、若手のコミュニケーションスキルに課題
――澤田さんのご経歴から教えていただけますか。
現在60歳で愛知日野自動車に入社して38年目を迎えました。最初の20年は営業として現場を経験して課長まで努め、残りの17年間は事務方として車輌まわりから管理や営業支援業務にまで携わりました。現在は営業本部長として売上を上げる部門全体の責任者をしています。
面白いもので、営業担当者だったころは販売促進の人たちから言われることを煙たく思うこともあったのですが、いざ支援側に立つと出してほしい提出物は出ないし「営業って、なんてひどいんだ!」と思うこともありました(笑)。それでも営業現場と管理部門の両方を経験し、それぞれの重要性を理解したからこそ、SFAとして導入したSalesforceの活用でも両者の立場から必要なものを選択できました。
――営業支援システムの導入を検討するに至るまで、どのような課題があったのでしょうか。
日野自動車全体の基幹システムはもちろん存在していて、お客様の情報や整備履歴なども保持していますが、複数のシステムにまたがっているため、現場がデータを引き出すのに手間がかかり、一覧性がないという課題がありました。当社の愛知日野自動車の社長が求めていたのは「顧客同士の関連性を示すデータの可視化」です。2013年ごろからそれを実現できるツールを探していたのですが、なかなか良いと思えるものもなく……。そんな折、同じグループでSalesforce使っている企業があったことをきっかけに2017年から導入をスタートしました。
――データの一覧性に課題があったのですね。近年、営業担当者とお客様のコミュニケーションにおける変化はありましたか。
トラックは自家用車と違い、働く車――お金を稼ぐ車です。どの企業のトラックを使ってもお客様としては、得られる利益は同じなんですね。もちろん、車としてのこだわりを持って選んでいただくこともありますが、それでも価格が安いほうが助かる商材ですよね。だからこそ、それ以外の付加価値の提供が必須なんです。トラックを使って商売をするお客様のために必要な情報を提供する、「お役立ち」の営業活動を日々心掛けています。
「最近の」という言い方は好きではないのですが、やはりいまの若手はお客様とコミュニケーションをとるきっかけをつくるのが苦手な子が多いように思っています。そこで、営業担当者にiPadを配布し、手軽にお客様にお役立ち情報を見せられるよう工夫しています。
「あの担当者がいる愛知日野自動車のトラックを買おう」と思ってもらうのは案外難しいことで、役立つことの提供以外にもこまめなコミュニケーションや気遣いが必要ですし、顧客のこれまでの情報がバラバラになっている状態では難易度はさらに高くなります。Salesforce上でデータを一元管理できるようになれば、出先のスマートフォンからも顧客情報を参照できるかつ、より顧客に適切な情報を与えられる営業活動が可能になると考えました。