「営業の花形」エンタープライズセールスの採用競争は激化
近年、「エンタープライズセールス」への注目が急速に高まっています。エンタープライズ、すなわち売上数百億円規模、従業員数数千人超の大企業や公的機関との取引は、1件あたりの受注額が大きく、企業の成長を大きく左右します。そのため、各社のエース社員が担当する「営業の花形」でもあります。
一方でエンタープライズセールス経験者の市場価値は非常に高く、人材獲得競争は激化の一途をたどっています。とくにスタートアップ企業では、大手企業に匹敵する条件を提示することは容易ではありません。しかし、創業期から独自の採用カルチャーを築き上げてきたログラスには、名だたる企業出身のトップセールス人材が続々とジョインしています。
今回の連載では、日本オラクル、セールスフォース・ジャパンなどの有名企業出身のトップセールスを採用してきた当社のナレッジを公開します。日本企業の成長を支援し、経済を盛り上げるパートナーとして、採用に悩まれている営業リーダーの皆様に少しでもお力添えできればと思います。

エンタープライズセールスの難しさ
そもそもエンタープライズセールスには、主に次の3つの難しさがあります。
1.ターゲット企業の少なさとリーチの難しさ
2.意思決定プロセスの複雑化
3.高度な専門知識の必要性
1.ターゲット企業の少なさとリーチの難しさ
一般的に、エンタープライズセールスが対象とする大企業の割合は、国内企業の約0.3%と言われており、そもそもターゲット企業が非常に少ないと言えます。さらに、ウェブや展示会などのマーケティングチャネルでは接点を持てないことも多く、接点を持つために多用な手段と時間・コストが必要となります。
2.意思決定プロセスの複雑化・長期化
エンタープライズの案件では、複数の部署や役職者が意思決定に関わるため、関係者全員へのアプローチと合意形成が必要です。担当者は導入したいものの、最終的な与信チェックで導入が見送られるようなケースもあります。金額が高い分、稟議や予算承認など多くのステップを踏む必要も。契約締結までに数ヵ月から数年かかることもあり、粘り強い活動が必要です。
3.高度な専門知識の必要性
複数の部署や役職者との合意形成を図るための顧客の業界やビジネスモデル、課題に対する深い理解が必要です。 自社製品やサービスに関する高度な専門知識に加え、競合情報や市場動向にも精通している必要があります。
エンタープライズセールスにおける採用の「ギャップ」
これらの条件を満たすエンタープライズセールスはSI・金融・外資IT・コンサルティング・産業機械や素材メーカー・通信業界など限られた業界の、さらに限られた組織に所属する人材となり、人数が限られます。
さらに、これらの大手企業に所属するセールスパーソンにスタートアップが自社を認知してもらう難易度は高いです。また、トップセールスは軒並み年収が高いケースも多く、スタートアップでは諸条件のギャップが発生します。採用の難易度が高くなる要素は何層にも重なっています。
しかし、創業6年のログラスでは、独自の戦略によってこの難題を克服しました。鍵となったのは、徹底的に磨き上げた採用プロセス、候補者1人ひとりに合わせた最高の選考体験、そしてトップセールスが活躍できる組織文化です。
次の章では、採用のプロジェクトの立ち上げ方から、実際の採用活動のプロセス・手法について解説していきます。