シーベースは、「マネジメント実態調査」を行い、その結果を発表した。

「自身のマネジメントにおいて、比較的うまくいっていると思うことは何ですか?」得意な業務は「部下とのコミュニケーション」がトップに

得意な業務を質問したところ、「部下とのコミュニケーション」が34.2%でトップとなった。次いで、「部下に業務を割り当てる・任せる」が29.7%、「業務の進捗管理・軌道修正」が24.2%と続いた。一方で回答割合が少ない、すなわち「比較的うまくいっていない業務」としては、「自組織のビジョン・戦略づくり」がもっとも低く17.7%、「担当組織全体の方向づけ・まとめ上げ」が17.9%となった。部下と相対しながら行う日々の業務については比較的スムーズに行えている傾向と、組織の目指す方向を示すなどの抽象度が高く概念的な業務に課題を感じる割合が多いと言える。また、「うまくいっていると思うことはない」と回答した割合は16.7%となり、マネジメント業務そのものへの課題感を強く感じている層も一定存在することが明らかとなった。
年代別マネジメント得意業務のプロファイル比較 もっともバランスが良いのは30代

年代別にマネジメント得意業務のプロファイルを作成して比較してみると、それぞれの年代の特徴が明らかになった。また、年代を超えて課題となっている業務の傾向もわかった。
20代は、「コミュニケーション」「調整」「業務割当」などの現場で行う業務が得意と回答している一方、「ビジョン・戦略」「組織の方向づけ」が不得意と差があり、「若手マネジメント」としての特徴が表れた。
30代は、20代より「成長促進」や「目標設定や業務計画」の回答に伸びが見られ、全体的にバランスが良い回答となっていると言える。しかし、方向づけなどの戦略領域の苦手さは残る結果となった。
40~50代は、「戦略」が下の年代よりへこみ、全体的に平均から小ぶりなプロファイルとなった。
役員なども含まれる60代以上については、「対人・支援系(コミュニケーション/モチベート)」が高くなった。しかし戦略系はこの年代にでも横ばいという結果になっており、年代によらず苦手意識を持ちやすい業務が「戦略系・方向づけ」であることがわかった。
マネジメント経験年数別で得意業務のプロファイル比較 経験5年以上でバランスが良くなる傾向

マネジメント経験年数別で見てみると、経験が1年未満~3年未満の層では、全体的にプロファイルが小さく、とくに「ビジョン・戦略立案」や「組織の方向づけ」といった上位概念の業務が弱く、基礎的な現場マネジメントの習熟が中心となっていた。この傾向は年代別で見たときの20代と同じ傾向と言える。また、2年以上3年未満の層は全体的に小ぶりな結果となり、自信のなさがうかがえる。
経験が3年以上5年未満になると、「他部署との業務調整」「部下のモチベート」「部下とのコミュニケーション」といった「現場系のマネジメントスキル」が大きく伸びはじめ、管理職としての自律的な動きが見られた。
さらに、5年以上10年未満、そして10年以上の層では、「担当組織のビジョン・戦略立案」などの業務が経験年数に伴って伸び、全体的にスキルのバランスが取れている傾向がわかった。
これらの経験年数別の結果から、経験年数を積むことで現場マネジメント能力は伸び、5年を超えると全体的にスキルが伸びてバランスの良いマネジメントを行うことができる傾向がわかる。一方で、戦略領域や育成についてはトップラインが60代以上になっても伸びず、意図的に鍛えない限り伸びづらいスキルである、という課題が浮き彫りになった。
「今後のキャリアにおいて、マネジメント(管理職)業務を続けていきたい/やってみたいと思いますか?」に「続けていきたい・オファーがあれば引き受けたい」と回答した割合は45%

今後もマネジメントを希望するかどうかを質問したところ、約45%から前向きな回答を得た。また、「別のポジションや働き方があればそちらも検討したい」が約20%となり、現在マネジメント職に従事していても、ポジションや役割変化をのぞむ声も一定数あることがわかった。一方で、「あまりやりたくない・絶対にやりたくない」回答は約33%となり、マネジメント職の経験を経た上で自身には向いていないと判断している層が3割強いることも明らかとなった。
年代別に見ると、30代がマネジメント職にポジティブである一方、役割負担やライフステージの変化がある50代はネガティブに

年代別に見てみると、マネジメント職にポジティブな回答をした割合がもっとも多く半数以上となったのは30代となった。30代はキャリアの拡張期・拡大期と言え、現在マネジメント職についている層が今後の管理職としての成長にも意欲的であることがうかがえる。また、キャリアの総仕上げ期であり、得意業務でも部下とのコミュニケーション領域が突出して高い60代、伸びしろを感じているであろう20代もポジティブ回答が高い傾向となった。
一方、得意業務についても伸び悩みがあり、健康や介護などのライフステージでも変化のある50代については、ネガティブ回答率がもっとも高い結果となった。上司・部下とのサンドイッチ構造での悩みなども多様で、キャリアの成長実感が得づらくなっている課題が想像できる。
経験年数別に見ると、年数が増えるにつれてポジティブ度は上昇する傾向が明らかに。マネジメント職を継続するほど成長実感を得られるか

経験年数別に見てみると、経験を重ねるほどマネジメント職へのポジティブ回答の割合が増え、ネガティブ回答が減少していくことがわかった。得意業務を経験年数別に見てみたときにわかったように、経験を積むことで現場マネジメント能力は伸び、5年を超えると全体的にスキルが伸びてバランスの良いマネジメントを行うことができている。現場における成長実感を通じてやりがいが醸成され、役割の安定が高まり、管理職を続けたいと感じる傾向が高まると考えられる。
【調査概要】
調査手法:インターネットリサーチ
都道府県:全国
実施期間:2025年8月
スクリーニング調査対象者:全国、男女20歳以上、企業の社員・経営者(人事調査のみ請負社員も対象)
調査対象者・サンプル数:①社員調査1,000:360度評価(多面評価)を会社が導入、回答者or対象者。②人事調査300:経営/人事業務関与&組織開発/人材開発/人事評価業務関与&サービス導入等に関与
