労働力不足問題解決のSaaSを展開するうるるは、女性の働き方と生活のバランスに関するプロジェクト「はたらく私の『じぶん配分』白書」のウェブサイトを公開した。本プロジェクトでは、キャリア断絶経験(※)の実態を示した「女性の「就労と時間配分」実態調査」をはじめ、さまざまなライフステージにおける働き方の工夫や課題を紹介する。
※キャリア断絶経験:本調査(「女性の『就労と時間配分』実態調査」)において、3ヵ月以上の休職または退職期間の経験を指す

背景

少子高齢化による労働力不足が深刻化する一方で、出産・育児や介護、配偶者の転勤といったライフイベントを機に、キャリアが分断される女性は少なくない。また、就労継続や復職が難しいケースも多く、こうした状況は、国内の人手不足を一層深刻化させている。
うるるは、新たな労働力の概念である「埋蔵労働力資産(※)」の創出・活用を推進する取り組みの一環として、はたらく私の「じぶん配分」白書の公開に至った。
本白書では、全国1,000人の退職・休職経験のある既婚女性を対象にした調査結果をもとに、「退職・休職の理由」「就労継続・再就労の壁」「働くことの意義」や、働き方に対する固定観念などを明らかにすることで、キャリア断絶の実態を示す。
さらに調査結果を踏まえ、実態を知るため、さまざまな働く女性に、女性たちの日常の時間配分を可視化した「じぶん配分ギャラリー」や、今の自分にとってベストなじぶん配分を得るまでを模索したリアルなストーリー(インタビュー)も収録した。
※「埋蔵労働力資産」発表に関するプレスリリース(2025年)
「はたらく私の『じぶん配分』白書」コンテンツ紹介
1.「女性の『就労と時間配分』に関する実態調査の結果サマリー
- キャリア断絶の理由:最多は「出産・育児」(54.7%)。子どもを持たない既婚女性では「結婚・配偶者の転勤」(40.3%)も上位

離職3ヵ月以上の既婚女性全体では、「出産・育児」(54.7%)や「結婚・配偶者の転勤」(35.4%)といったライフイベントが大きな退職・休職の理由となっている。一方で、「職場環境が合わなかった」(24.3%)や「自身の健康上の理由」(15.6%)といった環境・体調に関わる要因も一定の割合で見られた。子どもを持たない既婚女性では、「結婚・配偶者の転勤」(40.3%)や「職場環境の不一致」(38.0%)、「自身の健康上の理由」(31.0%)の割合が高く、退職・休職の背景は、ライフイベントに加え職場環境や健康といった多様な要因が影響していることがうかがえる。
- 就業形態の変:休職・退職後、80%が環境や時間を変更

休職・退職後、約8割(78.4%)が「働く場所や職場、雇用形態、仕事量を変えた」と回答。「以前と同じ環境・仕事量で働いている」はわずか17.8%にとどまった。中でも「雇用形態を変え、以前より働く量を減らした」(24.0%)や「勤務地・部署を変えて仕事量を減らした」(16.2%)といった、働き方をスリム化する動きが目立った。
- 時間配分の満足度:7割は「満足」と回答する一方で、4人にひとりは「不満」を抱える

「かなりそう思う」(20.2%)と「やや思う」(51.9%)を合わせると、約7割(72.1%)が「今の配分はベスト」と感じている。一方で「あまり思わない」(23.3%)、「全く思わない」(4.6%)を合わせると、4人にひとりはベストな配分で働けていないことが明らかになった。多くの人が一定の満足感を持ちながらも、25%以上はバランスに課題感を抱えている。
- ベストな働き方と現実:“家庭の都合に合わせて柔軟に働ける”働き方、ベストと現実でポイントのギャップ

ベストな働き方(以下、ベスト)では「家庭の都合に合わせて柔軟に働ける」(63.0%)が最多であるのに対し、現実に実現できているのは45.5%にとどまった。また「職場に子育てや家庭への理解がある」もベストが38.6%に対して、現実は27.9%と約10ポイントの差があった。「在宅勤務」(ベスト22.3%、現実13.2%)や「自分のスキル・経験が活かせる」(ベスト24.6%、現実16.5%)なども、いずれも理想と現実の間にギャップが見られた。
- 時間不足の最大要因:半数近くが「家事・育児との両立」(48%)を障壁に挙げる

仕事時間を増やせない理由としてもっとも多かったのは「家事や育児との両立が難しい」(48.0%)。次いで「自身の体力・健康面に不安がある」(37.0%)が続き、家庭と健康が最大の壁となっている。そのほかにも「希望する条件の求人が見つからない」(23.0%)や「扶養の範囲内に収めないといけない」(22.0%)など、制度的な制約や「ブランクがあり自信がない」(21.0%)といった心理面の課題も一定数の人に見られた。
【調査概要】
調査名:女性の「就労と時間配分」に関する実態調査(2025年)
調査対象:全国の20〜50代女性1,000名
調査方法:インターネット調査
実施期間:2025年7月30日
調査元:うるる
2.みんなの24時間「じぶん配分」ギャラリー

9名の「じぶん配分」を紹介。仕事・家庭・自分時間のバランスは人それぞれだが、子育てや家事といった「やらなければならないこと」を、パートナーや家族と協力しながらこなしつつ、仕事や自分の時間を確保しようと奮闘する姿を紹介している。
3.努力や葛藤の先にある『「じぶん配分」ストーリー #1 スワンさん』

ライフイベントを経て時間の使い方を工夫し、今のベストな「じぶん配分」を確立した女性たちのインタビューも公開した。第一弾は、サイバーエージェント、メルカリでキャリアを積み、現在はスタートアップの部長、起業家、そして一児の母でもあるスワン氏。インタビューでは、スワン氏自身の経験や「じぶん配分」を実現するまでの葛藤・工夫について語っている。
うるる 担当役員 取締役/CCO 小林伸輔氏のコメント

私たちうるるは、「労働力不足を解決し 人と企業を豊かに」というビジョンのもと、これまで“働きたくても働けない”人々などの未活用労働力、いわゆる「埋蔵労働力資産」を社会の力へと変換してきました。その歩みの中で、働きたいという意欲を持ちながらも、出産や育児、介護といったライフイベントによって思うように働けない女性が数多く存在することを実感してきました。今回の白書で明らかになったのは、まさにその現実です。多くの女性が、“その時々のベストな時間配分”を実現できずに葛藤を抱えている一方で、自ら工夫を重ね、限られた環境の中で「ちゃんと働く」形を模索していることも浮き彫りになりました。こうした姿は、個人だけの努力に委ねるものではなく、社会全体で支え合うことで、より豊かな働き方や暮らし方へとつながっていきます。
うるるは、正社員やフルタイムといった単一の枠にとらわれず、仕事・家庭・自分の時間が調和した「じぶん配分」を尊重する社会の実現を目指しています。
うるるは今後も、「埋蔵労働力資産」の考えを基盤に、労働意向がありながらも、さまざまな理由から働きたくても働けない「埋もれている労働力」と、IT・AIによって今後代替される可能性が高く段階的に「埋もれゆく労働力」の創出・活用を推進します。そして、サービスを通じた企業の生産性向上を両立させることで、日本の労働力不足問題の解決に貢献していきます。