テストセールスの成果物は「売上」より「確定情報」
一般的な営業活動において、商談の成果は受注や売上、あるいはそこにつながる次回アポイントです。しかし、まだ商品も市場も定まっていない新規事業のテストセールスにおいて、これらは必ずしも最重要の成果物ではありません。
もっとも価値がある成果物、それは「確定情報」です。
「顧客が好意的な反応を示した」というだけでは、事業判断はノイズでしかありません。好意的な反応は、顧客が気を使って断る理由を隠している可能性があるからです。
一方、「この条件では買わないことが確定した」「この課題には予算がつかないことが確定した」という事実は、一見ネガティブに見えますが、不確実性をひとつ減らすという点で、新規事業開発においては極めて純度の高い資産になります。
「この市場に見込みがない」と確定すれば、チームは自信を持って次の市場へ向かうことができます。逆に、その確定がないまま掘り続けることこそが、最大のコストである「迷っている時間」と「後戻りする工数」を生むのです。
確定情報を持ち帰ることは、チームが次に進むべき道、あるいは避けるべき落とし穴を地図に書き込む作業に他なりません。
では、具体的に何を持ち帰れば「成果」と言えるのでしょうか。「何か良い情報を聞いてくる」では曖昧です。私は次の3つを「確定情報」として定義し、これらが埋まることを商談のゴールとしています。
1.制約の確定:導入・契約・運用において、絶対に譲れない不可条件(NGライン)
2.行動の確定:顧客が過去にどのような打ち手を打ち、いくら支出したかという事実
3.判断構造の確定:最終的に誰が、どのような基準でGo/No Goを決めるのか
これらが埋まっていない状態で、「次はデモを見せます」「とりあえずPoCをしましょう」と商談プロセスだけを前に進めても、それは検証ではなくただの先送りです。
次回のアポイントは、あくまでこれらの情報を確定させるための「追加検証の機会」として位置づけられている必要があります。

