[リソース配分]ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチの使い分け
ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチの考え方で注意したいのは、これが単なる「接触頻度の違い」ではないという点だ。
ハイタッチは「直接手を動かして成果につなげる支援」、ロータッチは「自走できる顧客社員を育て、成果につなげる支援」、テックタッチは「仕組みだけで成果につなげる支援」であり、目的と役割がまったく異なる。
では、どの顧客にどのタッチで対応するのが正しいのか。ここで紹介したいのが「Tier(ティア)分類」だ。
顧客のTier分類(担当を割り振るための分類)
これは「誰がどの顧客に、どの深さで向き合うか」を決めるための分類だ。一般的には事業フェーズや予算規模で分けることが多い。Tierが高いほど、LTVが高くなる可能性が高くなるように設計する。
Tierは専ら新規営業の割り振りに使われるが、CSでも同じだ。
契約直後にTier分類を行い、適切な担当へ引き継ぐフローを確立することで、リソースの無駄遣いを防ぐことができる。
顧客Tierのつくり方
多くの場合、顧客Tierは顧客の「事業フェーズ(縦軸) × 予算規模(横軸)」によって設計できる。また、初期設計は3×3〜4×5程度のマス数で縦軸横軸を切ることをおすすめする。
事業フェーズ(縦軸)は、自社が顧客に推奨する行動のフェーズをイメージすると設計しやすい。予算規模(横軸)は、顧客が策定しがちな予算規模をきざむと良い。
顧客Tierの使い方
顧客Tierの設計ができたら、次に整理すべきは「どの程度の接触で、どのタッチを選ぶか」だ。
LTVが高く、組織的な意思決定が必要な顧客には、ハイタッチで深く関与する。一方、一定の成果が出はじめている顧客には、ロータッチに切り替え、顧客側の自走を促す。さらに、規模が小さい、もしくは利用が安定している顧客には、テックタッチを中心に据え、仕組みで成果を出す。
このように、Tierに応じて「接触の深さ」と「タッチの役割」を切り替えることが、CSリソースを枯渇させずに成果を最大化するポイントだ。オンボーディングプログラムを顧客Tierごとに用意できるように努めよう。
オンボーディング後は「エクスパンション」へ
オンボーディングは初期設定の代行ではない。顧客の成長曲線の向かう先を決める、もっとも重要な3ヵ月間だ。Tier分類でリソースを最適化し、オンボーディングという「仕組み」の上で顧客を成功へ導くことで、組織は属人化を越えて成長できる。
卒業試験をクリアした顧客は、エクスパンションフェーズへ移行する。価値を実感している顧客にとって、追加提案は「売り込み」ではなく「次の課題解決」として受け取られるからだ。
次回、第3回では「成果を最大化するKPI設計とエクスパンションの仕組み」を解説する。CS組織を成長させる指標とは何か。実践的に掘り下げていく。
[完全版]カスタマーサクセス組織立ち上げガイド
- 第1回:ひとりでカスタマーサクセスを立ち上げる方法
- 第2回:契約後3ヵ月で勝負が決まる「オンボーディング」と顧客接点設計(今回)
- 第3回:成果を最大化するKPI設計と「エクスパンション」の仕組み
- 第4回:属人化を防ぎ、効率を高める「顧客対応の仕組み化」とCRM活用
- 第5回:組織に拡張性を持たせる「人材採用・教育・評価」の設計図
- 第6回:他部門を巻き込み、会社全体で成功を実現する「部門連携とマネジメント」
