「レベニューマネジメントのエンジン」へ AI時代におけるISの役割
安部 最後に、おふたりが今後実現したいことを教えてください。
林 今後実現したいのは、案件の規模や特性に応じた「強い営業」の「型」を再設計し、データドリブンな営業体制を確立することです。
たとえば個別開発が生じる大型案件の場合、営業がデザイン思考に基づく双方向のインタビューを重ねて、ペルソナやバイヤージャーニーを構築します。しかし、サービスやパッケージ商品を提供する案件では、割り当てられるリソースが限られてきます。
そこで今後は、商品サービスや顧客層に応じて商談プロセスを最適化する「再設計」に取り組んでいきます。たとえばSI大型案件では営業が見込み客の獲得から対応し、パッケージ商品を提供する案件では、営業はクロージングフェーズから対応するなど、インサイドセールスの機能と商談プロセスを再設計したいと考えています。
また、顧客デザインやバイヤージャーニーの定義もさらに精度を高めていきたいですね。DSRで送付した動画や見積もりは閲覧履歴が残ります。「お客様の責任者3人のうち、ひとりがまだ見ていない」といった具体的な行動履歴に基づき、データドリブンにアプローチを変えていくことが可能になります。データに基づき顧客アプローチを設計し、同時に、AIを駆使して社内の業務工数を削減する。そして、インサイドセールスが主体的にアプローチしてクロージングまでもっていくということです。
こうした形で変革を進めながら、仲間を増やしていくのが今後の取り組みです。日本全体の就労人口減少、8掛け社会の到来という課題解決を実施し、「強い日本」の再生の一翼を担えるよう、今後も皆さんと一緒に取り組んでいきたいですね。
菊地 当社のインサイドセールスは、立ち上げ当初は「テレマ部隊に近いマンパワー集約型」と誤解されがちでした。
しかし、私たちが目指すのは「知識集約型」の組織です。AI時代にも、知識集約型のインサイドセールスは必ず残るでしょう。そのうえで、インサイドセールスの役割を「レベニューマネジメントのエンジン」へと進化させるのが今後の目標です。
複雑な製品・サービスでも、インサイドセールスが「型」を担う領域は存在します。今後は、製品の魅力でクローズできるFit to Standard型の領域について、インサイドセールスが主体的にアプローチし、独自に案件をクローズできるモデルを確立したいと考えています。

菊地 そして、この「型」の確立こそが、「脱・属人化」という大きな課題の解決に直結します。インサイドセールスがナレッジを集約し、お客様の購買フェーズをデータで適切に管理することで、事業が一部の「できる営業」に依存することを防ぐのです。
要件を綿密に詰める必要があるベストプラクティス型か、Fit to Standard型かといったように、インサイドセールスがデータに基づいて戦略の分岐点を判断できる体制が整うことで、インサイドセールスがレベニューマネジメントのハブとなり、事業のフォーキャスト(見込み予測)を安定的に担保できるようになるでしょう。
現在は、AI時代におけるインサイドセールスの存在意義を確立する過渡期と言えます。このタイミングを逃さず、新しいインサイドセールスの価値を創造していきたいですね。

