地方をDXで変える 高知支社が描く人口減少時代の営業戦略
──東京と高知、遠隔でのパ―トナー関係も数多く構築されていますが、そうした地方ならではの課題もあるのでしょうか。たとえば、パートナーセールスを推進するうえで、やはり、パートナーが直接地方を訪れることは重要でしょうか?
田村 リコージャパンでは、本部から共有される会社全体の方針・施策をベースとして、エリアごとの特性に合わせた戦略を実施しています。そうした中で、関東のパートナー企業とともに活動をすることも多いのです。
オンラインでのデモや商談は効率的ですが、お客様の本音を聞き出すことが難しいというデメリットがあります。やはり、お客様の生の声や潜在的なニーズというのは、オンライン商談が終わったあとのリアルな空間でこそお話しいただけるものですね。そうした点から、オンラインと対面による「ハイブリッド営業」が効果を発揮すると考えています。
実際、コロナ禍以降は多くのSaaS企業がリモートでのオンライン商談を実践しましたが、最近では、そうしたハイタッチ営業の方々から我々に相談をいただくことも増えてきました。
一方、お客様との接点を生むという観点では、パートナー企業との共創により、新たにタッチできる企業の幅が広がっています。たとえば、当社はこれまで中堅・中小企業のお客様がいちばんのボリューム層でしたが、現在は「Bill One for RICOH」の提供を通じて、大企業との接点を増やすことができています。

パートナーは非常に優れたSaaSを開発している一方で、私たちにはお客様と直接向き合い、その活動に寄り添ってきた経験がある。そのふたつの強みをかけあわせたハイブリッドな営業活動により、お客様への価値提供をさらに追求していきたいと考えています。
──最後に、今後取り組みたいことについてお聞かせください。
田村 今後は高知県でも、BCP(事業継続計画)対策としてクラウドシフトがさらに進むと予感しています。これにより、さまざまなシステムが連携することで、お客様の生産性向上がさらに期待できるでしょう。私たちもスキルを高めながら、お客様にその価値を提供していきます。
また、高知県は人口減少が進んでおり、従業員の確保も難しくなっています。今後はアウトソーシングの流れがますます拡大するでしょう。そこで、人材の確保に苦労されている企業の課題解決を軸として、業務改善につながる商材を提案していく戦略を進めています。加えて、お客様との継続的な関係構築につながるビジネスモデルやソリューションの提案も強化しなければなりません。このふたつを軸として、活動を進めていきたいと考えています。
人口減少における課題先進県として、地方で課題解決できるしくみを構築できれば、好事例として全国へ水平展開できる。そう強く信じて、これからも活動していきたいと考えています。
──地方の課題と向き合いながら、パートナー企業との連携で新たな価値を生み出す高知支社の取り組みをうかがいました。本日はありがとうございました。