あなたの未来を左右する「判断力」
トップ営業は、勝つ見込みが低い商談、勝ってもメリットがない商談には最小限の時間で撤退する。なぜなら、値引きで得た契約は“あとでトラブル”になる可能性が高いと知っているからだ。価格勝負で得た顧客は、契約後もずっと“値引き要求”が続く。
「この部分はサービスですよね?」
「ここはやってもらわないと困る」
「サービスしないとキャンセルしますよ」
とにかく値引きやサービスの要求が止まらない。クレームも多いし、精神的にも追い詰められる。営業のモチベーションが極限まで落ちてしまう。それならば、即撤退したほうがはるかに合理的である。
泥仕合を避ける判断力を磨くことこそ、トップ営業スタッフの近道となる。
営業という仕事は、すべての商談に全力で挑めば良いというものではない。むしろ“勝てる土俵だけで戦う”ことが長期的な成果につながる。
これは自分のエゴではなく、会社全体を守るためでもある。多くのスタッフがひとつの案件に関わる以上、営業が判断を誤れば会社全体に被害がおよぶ。
営業ひとりの「目先の契約を取りたい」という欲が、社内全体の疲弊とモチベーションの低下を引き起こすことになるのだ。
だからこそ、トップ営業スタッフは泥仕合の兆候を敏感に察する。
「このお客様と付き合ってはならない」
「この案件は割に合わない」
「会社に損失を与える」
そう判断したら即座にそのお客様との関係を絶つ。

このような話をすると「お客様を選ばずに、ていねいに接した方がいいのでは?」と思う人もいるだろう。
その考え自体は間違っていない。きれいごとを言えばそれが正解だろう。しかし、現実は異なる。すべてのお客様に全力で向き合っていたら、必ず行き詰まる。
営業のリソースは有限である。だからこそ、「どのお客様に、どれだけの時間と労力をかけるか」を見極めなければならない。
トップ営業スタッフは撤退するかどうかの判断力に長けている。そして、そこで空いた時間を“優良顧客”に投資していく。だからこそ結果が出せるのだ。
勝てない勝負にしがみついている限り、良いお客様には出会えない。いま目の前の案件、戦うべきか、それとも引くべきか。その判断こそ、あなたの未来を左右する。