3人で4倍の力を生み出す 今求められるチームワークとリーダーシップ
──メンバー1人ひとりが営業の醍醐味を感じながら活躍できる、理想的な営業チームをつくるためには何が必要でしょうか。
営業はとくにお客様との接点が多い仕事ですが、あくまでバリューチェーンの一角を担っているに過ぎません。財務も人事も、総務やエンジニアや経営者も、全員が“お客様への貢献”という大きな目的達成のために自らの役割に従事しています。利益や顧客数、知名度、働きやすい環境も重要な要素で、売上は確かに重要な指標ですが、それだけがすべてではないのです。
とはいえ、なかなかパフォーマンスが発揮できない営業メンバーがいるのも事実。そうした場合にはコーチングやイネーブルメントが必要です。一方で、実は部下のほうが営業として優秀なケースもあります。マネージャーはつい「教えなければ」と意気込んでしまいがちですが、ハイパフォーマーには、離職やパフォーマンスの低下を防ぐ“ケアリング”のほうが適しているでしょう。
その際に注意したいのが、自分を基準に「この人はこう理解するだろう」と判断するのではなく、会話を通じてお互いの考えを理解すること。そのために日ごろから話しやすい空気をつくり、メンバー同士をつなぎ、お互いに高め合う環境をつくってチームを活性化させることです。そうすることで、3人で3.5倍、4倍の力を発揮するシナジーを生み出すことができます。反対に、3人集まったのに2.8倍の力になってしまうのは最悪の状況で、そうなるくらいなら個別に働いたほうが良いでしょう。
年齢も性別も国籍もさまざまなメンバーがいる中で、営業組織のあり方に正解はありません。リーダーシップのあり方も変わってきています。しかしその中でも、“お客様への貢献”という軸はぶらしてはいけません。

──最後に、今後古森さんが挑戦したいことを教えてください。
私は新しいチャレンジが好きです。長年外資系企業に勤めて、さまざまな手法を学んできましたが、ある意味「レールのうえを高速で走ってきた」という感覚もあります。
現在はテックタッチの社外取締役としても活動していますが、システムを使いやすくする機能だけでなく、営業やカスタマーサクセスのプロセスを効率化して顧客満足度を向上させる可能性を感じています。ほかにも、こうした素晴らしいスタートアップはたくさんあります。 そうした方々と一緒に、これからは、ゼロから1を生み出していくプロジェクトに関わっていきます。そこで新しいことを学び、若い世代とともに成長していきたい。AIなど新たな分野についても学んでいきたいですね。
その過程でもし私の経験が活きるのであれば、それをミックスさせて新しい価値を創造していきたいと考えています。上から教える立場ではなく「一緒に考えていこう」というスタンスで、私自身も令和の若い世代から新しい考え方を学び、ともに成長していきたいと考えています。

──本日はありがとうございました!