営業現場からの要望に「想像力」で応える
データドリブン営業へのシフトにおける苦労について、「ひと言で言うと、営業現場の要求は厳しいものがありました」と小俣氏。まず「最新のデータをいつでも見たい」という声が上がった。一般的に、データの更新がシステムへ反映されるのは1時間や1日に1回程度。しかし営業現場からは、データを入力したら即座にダッシュボードへ反映される状態を求められた。ここでDr.Sumへデータを集約したことが功を奏し、30分に1回のデータ更新を実現しているという。
ほかにも多かったのが「見るだけではなく入力したい」という要望だ。
「意外だったのが、コメント入力画面です。商談に対して自分が行った活動や成果、チェックする項目などをとても細かく入力してくれて、我々の予想以上に活用されています」(小俣氏)
ダッシュボードのUIについても、当初はチャート式の画面を表示していた。しかし営業現場では、画面遷移が少なく一覧化されていて、ソートもできる画面が好まれた。現在はExcelライクな表形式のUIで展開しているという。
営業現場の声を反映するには、コミュニケーションのとり方にも注意したという。「完成版ではなくても良いので、イメージができるサンプルのダッシュボードをつくってほしい」と小俣氏。口頭や紙の資料だけでは営業担当者とうまくイメージを共有できず、完成したあとで「これじゃない」と思われてしまい、使われなくなってしまう。実際に使われているダッシュボードは、サンプルを見ながら営業と議論を重ねたことが成功要因となった。
「現場からシンプルなUIを求められたためという側面もありますが、MotionBoardでは容易にサンプルを作成できました。一般的に利用するレイアウト決めと表示させる元データの加工さえクリアすれば、慣れている人なら1~2時間で作成できます」(小俣氏)
一方で、小俣氏は「現場の声を聞きすぎてもいけない」と指摘する。ただ現場の言葉どおりにつくるだけでは、本当に課題を解決するダッシュボードはつくれない。実際の業務内容をたずねたり、サンプルへの意見を聞いたりする中で真のペインを導き出すことが重要だ。企画部のメンバーにはよく「想像力を働かせてくれ」と伝えているという。
「想像して試行錯誤するというのは、営業現場もメンバーも非常に労力がかかります。しかし全員で想像力を働かせて取り組むからこそ、期待以上のものができるのだと思います」(小俣氏)
システムは統一しなくても良い データドリブン営業の本質
現在、商談管理のためのダッシュボードは、営業はもちろん、製造部門も確認するようになった。製造業では、いつ、どの程度の受注予測があるかが生産計画をつくるうえで重要となる。従来は営業が見積もりを作成してSFAに登録し、そのうえで、別のデータベースやExcelで製造部門に共有していた。しかし現在では、商談管理のデータがもっとも鮮度が高くて信頼できるとして、営業部門と製造部門が同じダッシュボードを見る文化に変わりつつある。
さらに変化として、システムのリプレイス時に「MotionBoardで作成できないか」という声が挙がるようになった。BIは「見るだけのもの」という印象があるが、「入力のためのシステムも、MotionBoardなら作成できるのではないか」という考え方に社内がシフトしたのだ。「入力できる点が、予想以上に社内で響いた」とその効果を語った。
最後に、今まさに「データドリブン営業」へ挑戦しているリーダーたちへのメッセージを聞いた。
データが蓄積されていれば、将来的にさまざまな分析が可能になる。まずはとにかくデータを1ヵ所にためること。そして「業務をすべてひとつのシステムに集約しようとしないことが重要だ」と小俣氏は言う。
さまざまなExcelや各業務システムをひとつにまとめれば良いと考えがちだが、営業に関わる業務は多岐に渡り、すべてをひとつのシステム内で対応できるようにするのは困難を極める。無理に進めた結果として、業務を進めづらくなってしまったり、変更のハードルが高いことで世の中の変化に柔軟に対応できないシステムになってしまったりする。これでは、仮にデータを可視化できるようになったとしても、データそのものの入力精度が低い、データ量が足りないという問題が起こりやすい。
業務上最適なのであれば、Excelでデータを管理しても良い。大事なのはそれらのデータを集め、必要なかたちに加工して可視化し、活用することであり、これこそが真のデータドリブンだと小俣氏は語った。
「データをかき集めるという非常に泥臭く、表立っては見えない部分がもっとも重要です。そうした思想を体現しているDr.SumとMotionboardを、今後も活用していきたいと思います」(小俣氏)
上期中に年間予算の達成を予測! 「データドリブンな営業組織づくり」の資料を無料公開
属人的な営業活動により「営業目標未達成」「売上前年割れ」「営業人員の3割退職」という三重苦を抱えていたウイングアーク。同社が「MotionBoard」の営業実績管理ボードを開発し、上期中に年間売上目標の達成が見通せる「データドリブンな営業組織」へ進化を遂げたプロセスを無料で公開します。特設ページより資料をダウンロードのうえ、自社の営業組織を改革するヒントとしてお役立てください。
営業現場のデータ活用なら「MotionBoard」
現場でのデータ活用環境を整備し、各人が可視化・活用できる状態にすることで、レポート作成などの作業の効率化や、売上・受注の増加などの成果につなげることができます。営業組織の成果を最大化する「MotionBoard」について、詳しくは製品サイトをご覧ください。