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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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to be ONE TEAM ともに「売上」をつくるマーケティングとセールス

2024年10月16日(水)13:00~17:35

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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BtoBセールスに知ってほしい! カスタマーサクセス最前線

役割にとらわれないトラステッド・アドバイザーに 日経のデータ活用を支える“社内カスタマーサクセス”

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 SalesZineでカスタマーサクセス講座の講師を務める才流の高橋歩さんが、最前線をいくカスタマーサクセス組織をたずねる本連載。今回は、日本経済新聞社(日経)内でのデータ活用を支える、“社内カスタマーサクセス”の取り組みに迫ります。社内の各部門に対してデータ活用を支援する取り組みは、プロダクトベンダーが社外から行う顧客への支援活動に通ずるものがあります。同社 プラットフォーム推進室データインテリジェンスグループの佐野玄さんに、自社各部門の事業成長を支援する社内カスタマーサクセスの実践のポイントと、人材育成戦略についてうかがいました。

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日経におけるデータの重要性とデータインテリジェンスグループの役割

高橋(才流) 佐野さんが所属しているデータインテリジェンスグループは、社内に対してデータ活用を支援する役割を担っています。データ活用を推進する部署が誕生した背景からうかがえますか。

佐野(日本経済新聞社) 当社でのデータ活用は歴史があります。2010年、日経電子版サービスの開始と共に、日経IDを使った会員サービスを導入。このとき、CRMを目的としてデータ活用を始めました。その際にデータ基盤を整備し、パーソナライズやターゲティングを始めたことが原点になっています。

 その後、世の中でデータを基に意思決定を行うデータドリブンの動きが広まりました。当社でも、電子版の利用状況をしっかりと把握し、個人に合ったサービスを提供するという趣旨のもとでデータ活用の取り組みが発展してきました。

日本経済新聞社 プラットフォーム推進室 データインテリジェンスグループ(DIG) 部長 佐野玄さん

佐野 その後DX推進室が立ち上がり、社内でのデジタル活用を促す動きが加速しました。当社には電子版以外にもビジネススクールや転職支援サイト、ウェブメディアなど、日経IDで利用できるサービスが90種類以上あります。しかし、先行してきた電子版以外はあまりデータの活用ができていない状況でもありました。

 そこで電子版で培ってきた技術やノウハウ、人材の厚みを活かして全体を底上げしていくことを目的にDX推進室内にデータ部門が切り出され、今の組織に発展しました。その中で現在私の部署では、カスタマーサクセスマネージャー(CSM)のような役割も担っています。加えて、社内のデータ活用人材の育成も担っています。

高橋 データインテリジェンスグループのミッションはどのようなものでしょうか。

佐野 具体的には3つの役割があります。ひとつめは、データ基盤の開発です。およそ1,000万人の会員データや1日1億6,000万行の行動データをリアルタイムで処理し、マーケティング施策に即活用できる技術を開発して、運用も行っています。

 ふたつめは、分析および支援です。アナリストの組織を擁して分析の実務を担っています。また、事業部門と会話をしながら、ビジネス要件に対じたデータの収集や、データの分析・可視化を支援しています。データ基盤を社内各部門に導入し、活用支援する。まさにカスタマーサクセスのような役割ですね。

 そして3つめは、データサイエンスです。当社では、記事データを機械的に扱えるようにするために生成AIやLLM(大規模言語モデル)などを使ってコンテンツの解釈をする取り組みをしています。これには、利用者をほかのサービスに誘引するための予測や、ユーザーの興味関心を把握する目的があります。

高橋 ちなみに取り扱っているデータの種類はどのようなものなのでしょう。

佐野 主に記事や画像、企業情報などの「コンテンツのデータ」と、日経IDにご登録いただいている「お客様のデータ」、お客様がコンテンツと接触したときの「閲読履歴・行動データ」の3種類があります。私たちが扱っているデータは日経IDのお客様、つまりnikkei.comドメインの中で扱っているお客様のデータと行動データが主体です。

 顧客行動を理解するためにコンテンツも触りますが、軸はあくまでお客様のデータを取り扱うことです。どのように記事を読まれているのか、読まれ方や読む時間、場所もわかりますし、日経ID登録時に業界も入力していただくので、お客様の属性情報も分析しています。

高橋 セグメントしたデータを使って、さまざまなビジネスができるようになるわけですね。たとえば現在、どのような取り組みをしているのでしょうか。

株式会社才流 コンサルタント 高橋歩さん

佐野 当社には「オーディエンスエンゲージメント」という指標があるのですが、直近ではそのデータ活用に挑戦しています。同指標はお客様がどれくらいの頻度でコンテンツに触れているかを計る指標で、継続率と相関があります。指標のもとになっているのは、電子版のサービスを使う頻度と読んでいる記事のユニーク数です。このデータによって、ユーザーの継続利用を促すために必要な記事閲覧数がわかります。また、購読の習慣が途切れがちなユーザーに対して解約を防ぐための対策を講じられるようになります。

 ほかには、電子版などのお客様の中から当社が開催するイベントやセミナーに参加してくれそうな人を見つけ出すための汎用予測モデルの開発をしています。予測ができると、告知メールの送信時やウェブ上でターゲティングをする際に、興味がないユーザーへの的外れな情報発信を減らすことができます。不要な情報発信が減ることで、お客様が不要なメッセージを受け取らずに済みますし、われわれとしても広告や通知にかかるコストを減らすことができます。

 私たちのデータ活用の取り組みは、単にデータがあるから実践をするというものではありません。まず「集客したい」とか、「こういう人と関係を持ちたい」などのビジネス上の目的を持ったうえでデータをどのように活用できるかを考えて実践しています。

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社内のデータ活用人材を育成する3層ピラミッド型の仕組み

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この記事の著者

石田仁志(イシダヒトシ)

IT系フリーライター、記者。IT系の業界紙で記者として15年活動、編集部門のトップを経てフリーに。エンタープライズ系からTech系、組込み系まで幅広い領域を取材。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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