顧客の心を閉ざす「誘導尋問」に注意!
ヒアリングの本来の目的は、顧客の正確な情報を聞き出して的確な提案につなげること。提案が相手の心に刺さるかどうか、受注できるかどうかはヒアリングの良し悪しにかかっていると言って良いでしょう。それにも関わらず、まるで儀式のように形式的に質問しているだけの人が案外多いのです。
ヒアリングが苦手な人の特徴として、「売る」ことを目的とした質問をしていることが挙げられます。次の例では、商品・サービスを売るために、お客様の答えを誘導しているのがわかります。
営業 会社の業績をもっと伸ばしたいと思いませんか?
お客様 まあ、そうですね
営業 そのためには優秀な人材が必要ですよね!
お客様 はい、まあ……
営業 そのような人材を弊社の広告で募集しませんか?
お客様 …………
このような「誘導尋問」にお客様は敏感です。「その手には乗らないぞ」と心を閉ざし始めてしまっては、正確なヒアリングはもうできません。
ヒアリングは「誘導」ではなく、自社の商品・サービスを売るべき相手かどうかの「確認」です。そのため「売らない」という選択肢もあり得るのですが、売ることを前提としてしまうと、正確に判断できなくなってしまうでしょう。「このお客様には自社の商品・サービスが役に立つから売るべきだ」と判断できてから初めて、次のステップである商品説明を行うべきなのです。
「売るか売らないかはヒアリングのあとで決めること」というフラットな態度こそが、お客様の本音を引き出すことにつながります。 「売る気を見せない」こと、ましてや誘導質問をしないことをまずは心がけましょう。そのうえで、次ページでは、本音を引き出す質問の仕方を解説します。