「数字を残した人の勝ち」と語った若手トップ営業
研修先でのこと。この会社は主にマンションのリッチなリフォームを提供している。お客様は富裕層で年齢も高い方が多い。そのため、営業スタッフも40代、50代のベテランが多かった。
ところが、研修担当者が「彼がうちのトップ営業です」と紹介したのは、20代の若手営業だった。中高年の営業スタッフがほとんどの中、彼だけ極端に若い。この環境の中で、彼は20代にしてトップ営業の座に上り詰めたのだ。これは、とても素晴らしいことだ。
どんな考えで営業をしているかとても興味がある。私は彼に「営業活動においてもっとも大切にしていることは何ですか?」と質問した。すると「やはりダントツの数字を上げることですね」と答えた。そして自信満々に「どんなにキレイごとを言っていても、数字を残した人の勝ちですから」と言い放ったのだ。
たしかに彼の言うとおり、営業は数字の世界。契約数で言えばいちばん多く契約を獲得した人の勝ちだし、売上で言えばいちばん多く売り上げた人の勝ち。単純明快でフェアな世界だ。多くの営業スタッフにとって、数字は特別であり、次のようなことがモチベーションの源であることは否定しない。
・目標の数字をクリアする
・目標を上回る契約を取る
・会社でトップに立つ
しかし、「数字だけで良いのか」といえば、そうではない。数字ばかりを追いかけていると、いつか燃え尽きてしまうことになる。
彼はその会社で売上3億円を突破した。そのエリアでは初のことだった。2位の営業スタッフは2億に届いていない。ダブルスコア近くの差をつけて、ダントツの成績をただき出したのだ。目標の3億円を達成した次の期は“目標3億5000万円”になった。それもクリア。その翌年は“4億”。これもギリギリだがクリアした。
ところが3年続けてトップの成績を残したのち、一気に成績が下がる。