関係者を360度見渡しながら、最大公約数を見つけ出す
──現在のお役割と、そして営業としてのキャリアについてお聞かせください。
現在はBtoCコミュニケーションプラットフォームを提供するMicoworksのセールス統括本部長を務めています。3つの事業のうち、とりわけフラッグシップ的存在である「MicoCloud(ミコクラウド)」の価値を顧客に届け、売上目標を達成することがミッションとなっています。
営業としてのキャリアスタートは新卒で入社した博報堂になります。実は、入社時はクリエイティブ職を希望しており、営業職に配属されたことは本意ではなかったんです。一方、「広告を通じて、世の中を明るくしたい」という思いは変わらず、営業職という立場でも実現できると信じ、仕事に邁進していました。
──実際の営業の仕事はいかがでしたか?
当初は、かなりギャップを感じましたね。学生のころは、広告会社の営業に対して、旬な有名人と仕事する、華やかなイメージを持っていました。しかし、実際の仕事では華やかな場面は1%にも満たず、99%以上が地味で泥臭い場面ばかり(笑)。それでも、自身が制作に関わったTV CMなどのマス広告や開発に携わった商品が世の中で話題になり、多くの生活者に影響を与えられていることにやりがいを感じていましたし、裏側の地道な作業の積み重ねによって、一層の喜びや達成感を感じられました。
──その中で、営業の仕事についてどのように捉え、スキルや考え方を体得していったのでしょうか。
担当していたプロジェクトは大規模なものが多く、1本のTV CMに100名規模の社内外の関係者が関わることもあり、営業職はクライアントの第一接点として常に先頭に立ち、リーダーシップを発揮する必要がありました。利害が異なるすべての関係者を360度見渡しながら、最大公約数を見極め続けなければ、次のステップに前進できません。クライアントを始め、すべての社内外関係者が一丸となり、より良いものを追求し続けなければ、プロジェクトは成功しない。盛り上げ役であり、調整役であり、明るく前向きな環境づくりには随分と心を砕いてきたと思います。
そのためには、どんなにたいへんでも、辛い顔・後向きな姿勢は見せてはならないなと。「常に明るく前向きに」は、20年 以上、一貫して心がけてきたことです。そして、皆が気持ち良く仕事できるよう、次に何が起きるか・何をすべきかを常に考え、社内外関係者より先回りした対応を意識し続けてきました。日程調整ひとつとっても、メールの往復を回避できほうが良いですよね。些細なことかもしれませんが、小さな気遣いの積み重ねが信頼の獲得、ひいては全体のパフォーマンスにつながっていきます。そうした仕事への取り組み方は、博報堂の営業という役割を全うすることで自然に習得できたように思います。だから、「また架谷と一緒にやりたい」という言葉は、何より光栄で喜ばしいですね。