本稿における「営業トーク」の定義
さて、「営業トーク」と聞くと、契約につなげるためのトークテクニックを想像する方も多いのではないでしょうか。しかし、世の中にあふれるノウハウと一緒で、相手や状況によって使えるテクニックは異なってきます。
本稿で解説する「営業トーク」ですが、「お互いに話しやすい関係を築き、表面的なものではなく本音でディスカッションができるようになるトーク」と定義します。顧客と正直に腹を割って話せる関係が築ければ、契約につながる可能性もきっと高まるでしょう。
1.導入パート
商談開始時点の導入パートでは、お互いに温度感をすり合わせることが重要です。かんたんに挨拶や自己紹介をしたあと、「それでは早速ですが」とヒアリングや商品説明に入るケースが多いのではないでしょうか。
導入パートの進め方によって、話しやすい雰囲気を一気に構築することができます。私は導入を、「挨拶」「背景と目的確認」「進め方の確認」の3パートに分けています。具体的な進め方は、次を参考にしてください。
挨拶
「株式会社○○の○○と申します。本日はよろしくお願いします。御社側の参加者は○○様のみで宜しかったですか」
背景と目的確認
「今回のお問い合わせ内容を確認し、御社HPも拝見させていただきました。そこから〇〇というご状況ではないかと推察しているのですが、合っていますでしょうか」
進め方の確認
「ところで、先にご不明点や疑問点にお聞きしてからご説明するか、私から弊社のご説明をしてご質問をおうかがいするかでしたら、どちらがよろしいですか?」
まず、最初の「挨拶」では、自己紹介で終わらせるのではなく、先方からもお話いただける流れがつくれるように、参加者の確認を入れるようにしています。
次の「背景や目的の確認」では、このあとに続くサービス説明やヒアリングの前提条件にずれが生じないように全体像を把握する目的と、先方にも色々なことを話していただくことで、打ち解けやすくする効果があります。
最後の「進め方の確認」は、「先方の意向を尊重しています」「一緒に進めていきましょう」という思いを伝え、話しやすい関係を構築するために入れています。
ちなみに、相手が「よくわからない」「とりあえずお任せします」というタイプの場合は、意向を尋ねるのではなく「~という流れで進めようと思いますが、いかがですか?」とリードするのも良いでしょう。