「新人営業」が顧客のメリットになり得る場合とは
「『新人』を売りにすべきか?」という議論を始める前に、そもそも「新人」であることが、なぜ顧客の発注要因となり得るのかを正しく理解する必要があります。
「新人」に発注すると、顧客にとってどんな良いことがあるのでしょうか。実際のところ新人よりも社歴の長い営業に発注をしたほうが顧客にとってのメリットは大きいですし、「顧客は営業を選ぶことができない」ために新人に発注せざるを得ないケースのほうが多いはずです。
一方で、「新人」であることそのものが発注要因のひとつとなるケースも存在しており、いくつかのパターンが考えられますが、後述するふたつのパターンが一般的です。ひとつめは「顧客優位で取引を進められること」を重視するパターンで、ふたつめは「導入後の成果にコミットしてくれること」を重視するパターンです。
①「顧客優位で取引を進められること」を重視するパターン
顧客は基本的に取引を優位に進めたいものです。社歴が長い営業よりも、新人営業のほうが顧客の要望を聞き入れてくれる可能性が高く、値引き交渉や導入前後の工数負担における交渉が進めやすいと考えている場合があります。
もちろん新人営業は、このような案件の対応をしながら取引の進め方を学んでいくものであり、このパターンで受注することを避けるべきという話ではありません。一方で、マネージャーはこの案件を「御用聞き」から「課題解決パートナー」へと成長するための「気づきの場」にしていく必要があることは理解しておくべきです。
②「導入後の成果にコミットしてくれること」を重視するパターン
発注者である顧客は、これまでにさまざまな商品を発注してきた経験から、導入した商品の価値を最大限享受するためには「担当営業のフォロー」が重要であることを理解しています。社歴が長い営業よりも、新人営業のほうが「『顧客へ価値を返したい』という想いで導入後も自社のためにいろいろと動いてくれるのではないか」、そんな期待を持っている顧客は少なくないはずです。
このパターンが「『新人』を売りにすべきか?」という議論の際に重要となる観点です。つまり、「新人」であることそのものが発注要因ではなく、「成果コミットへの期待」であることを正しく理解する必要があります。