「顧客のためにならないものは売らない」で信頼を得る
――現在の野村さんのミッション、担当されている新規事業について教えてください。
プレイドにはエンタープライズセールスチームの立ち上げで2018年にジョインしました。もともとKARTEはマーケティング領域で多く実績がありますが、営業活動を通してカスタマーサポートやコールセンター領域で活用したいという大手企業様に3社連続で出会ったんです。業種・業態も異なる企業様で、「これは偶然ではないな」と新規事業の芽を感じとりました。プロジェクトに取り組む中で1.5兆円規模の大きな市場があることもわかり、2021年1月から本新規事業の責任者を務めています。「KARTE RightSupport」という新サービスを開発しており、先日やっとサービスサイトをローンチできて、まさにこれからというところです。
――新卒でワークスアプリケーションズに営業職として入社した理由をうかがえますか。
北大の大学院で経済学を学んでいたころから、新事業の創出や、VCとして支援することに関わりたいと考えていました。当時、共に学んでいた地元の経営者の方からいただいた「野村くん、事業やりたいなら営業やんないとね」という助言が営業を志したきっかけです。営業を経験するのであれば、モノウリではなく、ソリューション提案、そして最先端のITに触れておくべきだと考え、そのうえで働く人のレベルが高く若手のチャンスも多そうなワークスアプリケーションズを選びました。
――若手営業時代に印象的だった経験についてぜひ教えてください。
2年めの終わりごろ、大手企業とのアポを獲得して先輩営業と訪問したところ、「こんな課題があって、これやりたいんだよね」と具体的な話をうかがえたんです。「提案のチャンスだ!」と喜んでいたのですが、先輩からは「提案しないほうが良い」とアドバイスされました。「お客様は限られた予算の中で、小さいエリアをシステム化しようとされているけど、一部のシステム化でお客様の組織は良くならない。おそらく、買って良かったとも思ってもらえないよ」と、論理立てて理由を説明してくれたんです。
その後、お客様には提案書を持っていったものの「現時点でやらないほうが良い」「全体の課題を解決するためには、これくらいの予算をとって、こんなシステムをつくったほうが良いですよ」と正直に伝えたところ、お客様からは「よくわかった。一旦検討を止めたい」とお返事をもらいました。
3ヵ月後、お客様から「予算を確保するから、あらためて提案して欲しい」と声がかかったのですが、商談の規模は当初の10~20倍となり、ほぼコンペもなしで案件をいただくことができました。お客様からは、「最初の提案が非常に信頼できた」とおっしゃってもらえたんです。その経験をするまでは、私自身「営業=とにかく売る」というイメージを正直持っていました。長い視野で選んでもらうことと、短期的に売り込むことは違いますし、あくまでお客様の成果につながるかが重要で、お客様のためにならないものを売らないことで信頼関係を築くことができました。「これが営業だ」という感覚を得られた出来事でしたね。