成果を挙げる営業に入力しないから評価しない、とは言えない
前編「『属人化』が招く複数の営業課題 改革のスタートはマーケティングから? インサイドセールスから?」はこちらで公開中! 後編からでもお楽しみいただけます。
宮田(SalesZine) 「入力と活用ができる文化づくり」に関する質問も良く寄せられます。「データドリブンな組織」を目指す2社では、どのように営業組織に入力・活用を定着させたのか、工夫を教えてください。
斉藤(マイナビ) まだ改善の真っ最中ではありますが、BtoBマーケティングに取り組むにあたって、フィールドセールスによる活動データと顧客情報の登録は必須です。よく外部からのアドバイスで、「フィールドセールスの査定の際、営業成績に加えてSFAのデータ入力を評価対象にすれば、徹底できますよ」とおっしゃっていただくのですが、「営業」が強みの会社であればあるほど、数字を挙げているのに入力しないから低評価にするというのは、正直現実的ではありません(笑)。
宮田 視聴されている皆さまの企業の多くもそうかもしれません。
斉藤 「SFA入力=評価」とはできない我々が、注力している3つのポイントをぜひご紹介させてください。ひとつめは、「管理職より現場のほうを向く」です。まとめてデータを確認するのは管理職ですが、情報を積み上げていくのは現場の営業担当者ですから、とにかく楽に使いやすく。道半ばではありますが、ダッシュボードを現場が見たい項目でつくったり、レイアウトを随時改装したり、Salesforceの入力を楽にするMashmatrix Sheetというツールを活用したりしています。入力状況も逐一確認して、簡素化できる項目を削るなど細かい調整ですが、優先度高く取り組んでいます。
ふたつめは、「入力したほうがお得」という世界観を提示すること。入力すれば、アドバイスをもらいづらい別チームの先輩からコメントが来るような風土をつくっています。また経緯がきちんと入力されている案件については、インサイドセールスやマーケティングが自主的にナーチャリングして、ホットな状態にしていつのまにか営業のもとに戻ってくるような状況をつくることにもチャレンジしています。
最後は「トップセールスに理解を求めること」。トップセールスは、固定の大きな案件を抱えていて、自分の中で必要な情報が完結しているため、わざわざシステムに入力することにハードルがあると思います。それを乗り越えてきちんと入力してもらうことが、組織の財産となり、若手の育成につながるということを、粘り強く伝えていくこと、これも非常に大切にしています。
宮田 徹底的に現場に寄り添った3つの視点ですね。志知さんたちの組織で入力、活用の文化が進むために気をつけていることを教えていただけますか。
志知(堀場エステック) ツール群をより営業部門にとって使うべきものにしていく一環で、今年からFORCASを導入しました。優先順位づけやターゲティングを効率良く行うことを目指しています。加えて、営業部門だけでなくサービス部門側のSalesforceの導入も検討しています。「バックデータのインフラ」を整えることで、より各部門が役割と責任範囲を明確にできるよう、地道にデータ整備を進めているところです。
そのうえで「入力」にはまだまだ課題がありますし、「入力は負担である」のも間違いないと思っています。私としては、若手のメンバーに対して「セルフマネジメント」に使ってもらえるように「入力は目的ではなく手段だ」と伝えています。予算から必要な商談数を逆算することもそうですし、ダッシュボードをつくる際も、「進捗を見るのか」「結果を見るのか」「異常値を見るのか」でつくり方は変わります。可視化の先を考える、「仮説思考」のトレーニングを、データを用いた業務改善の中で行ってもらい、雪だるま式にパワーアップしてほしいと考えています。メンバーから施策のアイディアをもらう際も「それはどんな数字を改善するのか?」という問いは常に投げかけていますね。
宮田 最終的には現場のメンバー1人ひとりの成長につながることであり、さらに言えばそれがお客様へのより良い提案につながるようにという角度からの工夫だと感じました。