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セールスDX成功の鍵は「カルチャーを変える勇気」――EY千葉氏×NTT Com成田氏対談

2021/08/31 11:00

 営業組織におけるテクノロジー活用の重要性が叫ばれるなか、日本の大手企業が「データを活用する営業組織」になる前にぶつかる壁も多い。今回は、10年にわたり「セールスDX」を実践してきたNTTコミュニケーションズで、マーケティング部門長を務めた成田大助さんと、営業領域におけるデータドリブンマネジメントに知見を持つEYストラテジー・アンド・コンサルティング 千葉友範さんの対談を通じて、日本の大手企業が「セールスDX」を成功させるためのポイントを探った。

日本企業でSFAは守りのツールに? データに基づく意思決定で好循環を

――本日はセールスDXの中でも「データドリブンマネジメント」をテーマにお話をうかがわせてください。まずはおふたりの、営業に関わってきたキャリアについてうかがえますか。

千葉(EYストラテジー・アンド・コンサルティング) 大学院在籍中に産学官連携で設立されたベンチャーに参画したあと、コンサルティングファームに就職し、2014年から外資系大手SFA企業に出向してアライアンスビジネスの強化を支援しました。早い段階で営業プロセスを科学する組織を経験したことが大きな転機となり、営業を統括する立場でベンチャー企業に転職しました。その後当社に移りましたが、営業マネジメント経験は今のキャリアにも活きていると思います。

成田(NTTコミュニケーションズ) 私は弊社でネットワークエンジニアとしてキャリアをスタートし、サービス企画・開発や経営企画部でサービス戦略策定などに携わりました。その後営業組織に異動し、営業部隊を支援するグループのリーダーを務めました。社内でも少し珍しいキャリアですが、「営業のしがらみ」を知らない分、ピュアな状態でデータドリブンセールスの体制づくりに取り組むことができたんです。現在はさらにIT部門に移り、全社のDX戦略を任されています。

 
千葉さん/成田さん

千葉 コンサル業界にもエンジニアから転向する方がいますが、正直羨ましいと思いますね。技術側の経験があると、アイデアを出すだけでなく、お客さまが最後に詰まってしまうところで具体的なソリューションを提供することができますよね。

成田 たしかにそこは、社内のセールスDXを進めるなかでも大切にしてきたポイントです。全社DXという今のミッションにアサインされたのも、新しいサービス実装を支援した経験が多かったからかもしれません。

――千葉さんから見て、日本の大手企業において「データドリブン」が定着しない理由はどこにあると思いますか。

千葉 経営層やマネージャーがツールをきちんと使わないから、のひと言に尽きると思います。日本人は真面目ですから、きちんとした指示があれば現場の方はしっかりやると思いますよ。

 ツールが使われない理由のひとつに、整備されていないデータの問題があります。使われないメカニズムはシンプルで、「現場にとって意味のないデータ」を入力させてしまっているからです。現場では意味がないと感じるから積極的に入力しないし、使わないし、結局箱だけがあって中身はスカスカという状態になります。これにより、いわば「汚いデータ」だけが溜まって、マネージャーも使わなくなるため、さらに悪循環になってしまうわけです。

 私は営業マネージャー時代、チームメンバーに営業日報の提出を求めませんでした。何十人もの「ドラマチックな営業日報」は読むほうもたいへんですし、データが入力されていれば必要な情報はダッシュボードで可視化され、それをもとに意思決定できるからです。マネージャーがデータを見て意思決定していることが伝われば、現場のデータ入力も定着するという好循環が生まれます。私の場合は経営会議にもダッシュボードのデータだけを提出し、会議のためにExcelで別途まとめ直すようなことはしていませんでした。

 
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 ディレクター 千葉友範さん

成田 たしかに、弊社でも経営層が、事業戦略としてデータドリブンセールスを推進するメッセージを発信しており、実際セールスDXを加速させる原動力となりました。

千葉 ツールを導入するとき、海外では「引き算」の発想になります。「このツールを導入すれば、いままでのこの作業は必要なくなるよね」と合理的に業務を変革するわけです。これに対し日本企業は、あれもこれも報告させようという「足し算」の発想になってしまうんだと思います。そのうちに本来、戦略的な営業活動の武器となる攻めのツールであるはずのSFAが、管理を担う守りのツールとなってしまいます。データの入力と可視化は、「これを見て誰が意思決定するのか?」と、アクションにつなげることがもっとも重要です。


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