階層別ではなく、チーム別研修を
私は営業組織への「教育・研修」を通じて、「営業成果」とは何かということを長らく考え尽くしてきた。自身の経験から、教育や研修を嫌いがちな営業部門へどう対応していくべきか、ある結論に辿り着いた。「役職や年次別の階層別研修」の限界に気づき、それとは異なるアプローチとして、「現実の職場・営業チーム単位別研修」を導入することが重要だということだ。
個人とチーム、両方の“考える力”を強化し、自律した目標達成集団を目指すことでチーム業績向上につなげていくということが、これからの「営業チーム」には強く求められている。
研修を通して、「営業チーム」がリアルに背負っている「営業成果」を、6ヶ月~1年間にわたるロングスパンで実際に共に追いかけ、「個人の意識」「個人の行動」「チームの状態」の変化と成長を支援してきた。
この長期にわたる研修は、もはや「研修」というより、「日常の打ち合わせや会議の延長としての場」である。そこで、「業務そのもの」として位置づけ「ワークショップ(工房)」と呼んでいる。
本記事では、ワークショップの中で、一体感のある営業チームを作るために大切にしている以下の7つのステップを紹介したい。
一体感のある営業チームを作るために大切にしている7つのステップ
- お互いをよく知る
- 本当にありたい姿を創る
- チームの現状と課題を探る
- 「チームとして取り組む作戦」と「個人宣言」を創る
- 「チーム作戦」と「個人宣言」を毎月レビューする
- レビューするとともに、目標達成に必要な営業力強化要素として、知識・態度・スキルのインプットを行う
- 成果報告会を行う
ステップ1.お互いをよく知る
ワークショップを行ってみると、実はメンバーがお互いのことをよく知らない営業チームが多い。チームとしての“一体感”を醸成するために必要なことに、次の2つを掲げている。
- 率直に話す
- 相手を尊重する
これらは、チーム全体の「対話力(関係の質)」を高める上で欠かせないものであるため、その出来具合をチェックするワークをチーム全員でやってみることを推奨している。やってみると、次のような反応が多く出てくる。
- いかに表面的な付き合いであるかがわかった
- お互いが何をし、何に困っているか、何が強みで、何が課題かに関心がなかった
- 思っていることを話すことに躊躇し、遠慮して、オブラートに包んだ発言に終始していた
- 意見を真剣に戦わせる以前の問題で、意見を尊重して聞くことが苦手
- 数字を分担している個人の寄り合いで、知恵の出し合いをする意識は希薄
これでは、目標達成に向けた良い考え、良い行動による成果創出に繋がりにくい。互いに営業チームの一員であり、影響を及ぼし合う、縁のあるかけがえのない存在であるとの認識を高めるチームビルディングの場を、何らかの方法で設定することを勧める。