営業現場では「データを見る」ことが後回しになる
――皆さんのご経歴、そして今回リリースされた「説明可能なAIのプロジェクト」での役割を教えてください。
宮本 我々はクライアントの営業・マーケティング戦略における施策・データ・ITの構想策定から具体的な施策・分析のコンサルティングまで行っているデジタルストラテジー事業部に在籍しておりまして、私はAI・機械学習も含めたデータコンサルティングを行うチームのグループマネージャーを務めています。
宮田 私は、開発担当として機械学習を活用した、「説明可能なAI(Explainable AI、以下XAI)」)のソリューションでのモデル作りに携わっています。
鈴木 私はビジネスコンサルタントとしてクライアントと相対し、「どのようにデータ活用を行っていきたいのか」というニーズにアプローチしていく役回りにありました。
――今回、ソリューションを立ち上げるにあたって、実際の企業と実証実験のプロジェクトを進めてきたとうかがっています。プロジェクトが立ち上がった経緯や背景をお聞かせください。
宮田 BtoCの店舗保有型企業様の営業課題を支援するプロジェクトが発端でした。ひとつの大きな顧客データベースを作るプロジェクトがあったのですが、「そうして作られたデータベースは、果たして現場営業担当者に使ってもらえるのか」「具体的にどのように運用していくのか」などの点が不明瞭でした。そこで、データを活用することが果たして本当に現場にプラスに働くのか、PoCでの検証を試みたのがはじまりです。ひとつの販売店に対して、データを活用した営業支援をスタートさせていきました。
営業担当としても、もっとも重要なのはコミュニケーションを通してニーズを引き出し、購買意欲を促進させること。そのため、「自分たちの営業に活かすためにはどのようにデータを見るべきか」を考えることはおろか、データを見るという行為自体が後回しにされてしまいがちです。こうした理由からデータ活用が進まない、との声も挙がっていました。
――本サービスはどういったことを実現するのでしょうか?
宮本 ひと言で申し上げると、コロナ禍の営業現場で起きている事象を鑑みて設計された「データ活用を支援するコンサルティングサービス」です。
外出自粛の影響で顧客のデジタルシフトが加速し、営業パーソンは顧客のもとへ訪問することが難しくなりました。顧客との対面での接触機会が減少している以上、ECやウェブサイトなどのデジタルチャネルにおける顧客行動データと向き合わなければなりません。具体的には、「オンライン上でどのようなコンテンツがどの程度読まれているのか」「顧客は製品のどういった点に興味関心があるのか」など、あらゆるデータを活用してビジネスに活かしていくことが求められています。そうしたニーズに対して、AI・機械学習を活用して顧客の興味関心を予測し、営業のアプローチを効率化するのが本サービスの目的です。