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30歳で住所を手放した――「理想の働き方」を諦めないアドレスホッパー営業の生き方

2021/01/21 07:00

 新型コロナウイルス感染拡大の影響でテレワークが急速に浸透したことをきっかけに、ビジネスパーソンの「働き方」の選択肢は大きな広がりを見せている。今回お話をうかがったのは、営業職でありながら、所定の住所を持たずに拠点を転々とするライフスタイルを実践する「アドレスホッパー」のニット・久保智さん。「働き方がどうであれ、営業としての心構えは変わらない」と語る久保さんに、一切の場所にとらわれない人生を選択するに至った背景や、異色な働き方を実践する営業職としてのマインドセットをうかがった。

住所を手放したのは30歳の誕生日 「働き方」ベースでキャリアを築く

――本日はよろしくお願いします。まず最初に、久保さんのご経歴を教えてください。

4年制大学の経済学部を卒業後、新卒で証券会社に入社しました。入社後3年間、証券会社では個人・法人の資産運用をお手伝いしていたため、もとは金融畑の人間です。その後は証券会社での経験を活かし、金融関係の業務でフリーランスとして働いていました。もともと「ひとつの会社で働き続ける」という働き方よりも、「セルフマネジメントをしながら自由に働きたい」という思いがあり、将来的にフリーランスで働くことを見据えたうえで、証券会社をファーストキャリアに選択しました。その後、人材業界を経由し、現在ニットで営業として働いています。

株式会社ニット 営業部 久保智さん

――フリーランスを経験されているんですね。会社員からフリーランスに移行した際、働き方はどのように変化したのでしょうか。

自分は「やりたいこと」以上に「働き方」ベースで仕事をすることに関心があったため、証券会社からフリーランスで働く際は、もともと取り組んでいた金融業務をそのまま自分が担うかたちで働き始めました。

業務内容はほぼ一緒でしたが、フリーランスになったことで非常に時間にゆとりができました。株式市場が動くのは9時から15時までだったため、15時を回ると比較的自由度が高まりましたね。自分と似たような働き方をしている方々と共同でオフィスを借りていましたが、人によっては月も1回しか働いていない人もいました。

――その後は人材会社を経てニットに入社されていますが、現在の働き方は当初と比較していかがでしょうか。

働き方に関しては、社会人年数を重ねるにつれて、「できること」「やりたいこと」が広がってきている実感があります。そういった意味では、ニットに在籍している現在のほうが、幅が広がった状態で理想のワークスタイルを実践できているように思います。

――30歳でアドレスホッパーという働き方を選択されたと広報の小澤さんよりうかがいました。この決断に至った経緯を教えてください。

「アドレスホッパー」という仕事が世間に認知される以前から、こういった働き方に興味がありました。僕は四国出身ですが、「たまたま」日本の四国という地域に生まれただけなのに、それだけの理由で自分の住まいを決めてしまってよいのだろうか、とかねてから疑問を抱いていたのが大きな理由です。中学生のころから、さまざまな土地に実際に住んでみたうえで、生涯の拠点を決めたいという思いもありましたので、30代突入を機に住所を手放し、アドレスホッパーとしての働き方をスタートしました。

 

金融業界時代は、40代、50代のお客様が多く、年齢層が比較的高めでした。年齢が上がれば上がるほど、直接訪問し、対面でお話しするほうが好まれる傾向にあるため、現在の働き方のほうがよりマッチしているように感じています。

とはいえ、ニットへ入社するいちばんの決め手になったのは――もちろん働き方の側面もありますが、ニットの掲げるミッションやビジョンへの共感です。

――アドレスホッパーとして働くことにより生じる利点がありましたら教えてください。

こうして取材いただいていることも含めて、住所を持たない働き方をしていなければ、生まれなかったであろうご縁の広がりに利点を感じています。話のタネになることはもちろんですが、仕事につながるときもありますしね。

営業職として働いている以上、詰まるところは商談数の母数を増やすことが売上につながる側面もあるかと思います。そのため、アドレスホッパーとして働くことの利点はオンライン営業の利点とそう変わらないかもしれません。

――ありがとうございます。メリットを教えていただきましたが、久保さんの所定の住所を持たない働き方は不自由な側面もあるのではないでしょうか。

僕自身、アドレスホッパーという働き方を知ってから「こんな働き方もあるのなら、自分もやってみたい」と決断したわけではありません。あくまでも、自分が中学時代から理想としていた働き方に対して、のちのち「アドレスホッパー」という名称がついてきたようなかたちです。突如思い立ったわけではなく、いわば自然発生的にこの働き方に着地したため、「郵便物はどう管理しよう」などの物理的な些細な悩みはありますが(笑)、特段大きなデメリットを感じていないのが本音です。

一方で、いわゆる僕のようなアドレスホッパーと呼ばれる働き方をしている方々に話をうかがうと、「きつい」とおっしゃる方々もいらっしゃいます。

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