BtoB営業と営業資料の深い関係
BtoB営業パーソンにとって営業資料は、顧客に自社サービス・製品の魅力を伝えるうえで必要不可欠なツールである。商談の際に活用するだけでなく、見込み顧客へ送付を行い、受注確度を高めることもあれば、商談創出のきっかけづくりとして使用するなど、商談以外の場面でも活用されている。
当社がBtoB営業担当者を対象に実施した「法人営業に関するアンケート調査」で、新規営業の際に顧客から「とりあえず資料を送ってください」と言われた経験の有無をたずねると、86%が「経験がある」と回答した。
さまざまな場面で活用される営業資料は、営業パーソンにとって非常に重要なツールである。しかし、ツールとして重宝されているのにもかかわらず、これらの管理方法が徹底されている企業はそう多くない。営業資料が「社内サーバーのさまざまなフォルダに点在してしまっている」「自身の顧客用にカスタマイズした営業資料がチームで共有されていない」など、さまざまな課題を耳にする。私も昔、別の営業担当者が所有している資料の存在を知らず、同じような資料を一から作成してしまった経験がある。IT化が進み、個々の営業パーソンもクラウド上で情報管理を行う時代ならではの、「あるある」なのかもしれない。
営業資料の管理・共有不足で生じる3つのデメリットとは
先述のとおり、営業資料が社内で適切に管理・共有されている企業は少ない。これにより生じるデメリットを解説していく。
(1) 適切な営業資料を探す手間がかかる
営業資料が社内サーバー上のさまざまなフォルダに分散されていると、そのときに使いたい営業資料を探すのに時間がかかってしまう。サービスごとの最新の営業資料、および過去に作成された資料が現在どこに格納されているか、すぐに思い出せるだろうか。営業人員が5名の組織で、1人あたりが毎日10分間資料探しに時間を割くと仮定すると、資料探しに費やす時間は1ヵ月で16時間かかっている計算になる。
(2) 最新版の資料がわからず、顧客に誤った資料を送ってしまう
サービス内容の変更や価格の改定など、営業資料は一度作成して終わりではなく、常時最新の情報にアップデートして使用するべきツールである。営業資料を更新する際のルール、いわゆる「バージョン管理」が徹底されていない企業の資料格納フォルダで多く見受けられる光景は次のとおりだ。
- サービス資料_最新.pdf
- 【最新】サービス資料.pdf
- サービス資料_20200401.pdf
- service-doc_new.pdf
- サービス資料_0601.pdf
営業資料には、価格やサービス詳細などの重要な記載も多いため、常に正しい情報を顧客に提示する必要がある。しかし、管理・共有が徹底されていないと、誤って情報の古い営業資料を送ってしまう可能性がある。誤った情報を送ることで、後々トラブルになるだけではなく、営業担当や会社そのものの評判を下げることにも直結してしまう。
(3) 「売れる営業資料」や「使える情報」が使われないまま埋もれてしまう
優秀な営業担当ほど、より自身が成果を上げやすいように、営業資料をカスタマイズしている。しかし、どんなに創意工夫を凝らして作成された「売れる営業資料」も、営業担当個人のフォルダに格納されてしまうと、ほかの営業担当は存在を知ることすらできない。また、セミナーなどで提示している「使える情報」や、マーケティングチームが作成したホワイトペーパーなどが営業担当まで共有されておらず、現場の営業活動で活用することができなかったケースも耳にする。
「売れる営業資料」や「使える情報」がきちんと共有されていれば、作成者だけではなく、そのほかの営業担当の成果向上に役立てることが可能になり、ひいては事業・会社の売上にも直結する。営業資料の管理・共有は営業パーソンとその組織だけではなく、企業の成長にも関与すると言っても過言ではない。