営業はどう変わったのか? 明暗を分けるのはオンラインへの適応力
2020年4月が分岐点となり「営業」が大きく変わった
「働く」という大きな流れの中から営業の立ち位置の変化を考察していくと、4月7日に発出された緊急事態宣言が大きな転機であったように思います。約1ヵ月半のステイホーム期間中、半ば強制的にリモートワークが開始された結果、営業会議はテレビ会議へ、商談はウェブ商談へと移行する流れが生まれました。
5月25日の緊急事態宣言解除後も、継続して自粛が呼びかけられました。リモートワークをそのまま継続する企業、出社半分+リモートワーク半分のハイブリッド型の働き方を採用する企業もあれば、完全出社型に戻した企業もありました。まだまだコロナ禍は継続していますが、各企業の働き方への考え方はさまざまです。
しかし、時間と場所にとらわれない働き方を取り入れる企業が増加したのは確かです。皮肉なことに、働き方改革はコロナショックによって急速に加速しました。そして、この変化の渦中にいるのが営業職であると私は考えています。
この1年で商流全体はどう変わったのか? マーケティングチャネルの完全復旧の見通し立たず
経済打撃はご存知のとおりですが、コロナショックは当然、商流全体の流れにも大きく影響しています。営業だけを切り取って考えていく前に、ビジネスサイド全般まで少し枠組みを広げて考えていきましょう。
新規営業を担当する人にとって、マーケティングからのリード供給は生命線です。BtoB企業の多くが、展示会やセミナーなどといったマーケティングチャネルを活用していました。しかし、コロナショック以降、これらのチャネルは壊滅的な状況となり、現在も完全復旧には程遠い状況です。
こうした状況は、オフラインチャネルをメイン集客口にしていた企業にとっては大きな痛手となっています。得意・不得意に関係なく、マーケティングの主戦場はオンラインに移行せざるを得ない状況です。コロナショックをきっかけに台頭したウェビナーや、既存のウェブ広告がこれに該当しますが、企業の業態や商材との相性もあるため、オンライン1本のマーケティングは、どうしても片手落ちになる企業が多いです。こうしたオンラインへの切り替えが順調な企業と、そうでない企業の明暗は、営業成績に直接反映されてきています。
営業現場の課題感はオンライン商談への「慣れ」に集約
営業の変化をひと言で言うと「オンライン商談の増加」、これに尽きます。マーケティングチャネルと同様に、オンラインでのコミュニケーションが増加しています。オンライン商談ツールの活用の難しさも含めて、じっくりと深い人間関係を築いていく営業スタイルの営業パーソンにとっては難易度が上がったと言えるでしょう。
こうした現在の営業現場が抱える課題感や工夫の数々は、「オンライン商談への慣れ」に集約されているように思います。市場そのものの冷え込み、マーケティング部門からのリード供給の減少、ひいてはオンライン商談の不慣れによる受注率減少など、営業現場を取り巻く環境は一変しています。しかし、こうした厳しい状況下でも、営業を最適化させて展開している会社がたくさんあるのも事実です。