営業のプロは今の変化をどのように受け止めているのか?
多くの企業がリモートワークを採用し、営業スタッフの在宅勤務も今や珍しい光景ではなくなりました。ウェブ商談やオンラインミーティングが一般化しつつありますが、営業のプロフェッショナルたちは、1年前からの著しい変化をどのように受け止めているのでしょうか。
営業代行事業を行うセレブリックス事業推進室室長 今井晶也氏に所感を尋ねたところ、「誰も正解や判断軸を持っていない時代に突入している。誰もがゲームチェンジャーになれるし、前向きに今の状況をとらえると若手が活躍するチャンスと言える」という返答がありました。
今井氏がこの未曽有の状況を「チャンス」とポジティブに語る一方、Sales Techを展開するRocketsのCSOである鈴木純太氏(ジェイさん)は、「社員間の距離が物理的に離れ、中長期的なスコープの話がしづらい状況」と課題を語りました。今は、営業にとってピンチであると同時に、チャンスでもあります。多くの課題が顕在化し、それらを解決する新しい手法が求められ続けています。
話者同士の問題認識や方向性が合致していれば、短期目線での情報共有や進捗確認をオンライン上で実施することは特段問題ありません。しかし、本質的な問題や、全体の方向性などの「大きな流れ」を決定していく議論は、オンラインだけではまだまだ厳しく、オフラインでのコミュニケーションに頼らざるを得ない状況があります。刻一刻と状況が変化する先行きの不透明さゆえに、未来の話は仮定に仮定を積み重ねる必要が生じ、解像度の低い抽象的な議論になりやすいからです。現場が抱える漠然とした不安感の汲み取り方も、ブレイクスルーのひとつの鍵になりそうです。
加工食品大手の営業マネージャーは、自身の抱える課題を次のように語りました。「営業パーソンの行動量のばらつきが目立つようになった。自分で行動管理できる人材は良いが、そうでない人材は成果が落ちてしまっている状態。成果を上げられる人とそうでない人が浮き彫りになってきてしまっている」。
また、飲料メーカー大手に勤める営業マネージャーも「営業チーム全体を俯瞰してみると、マネージャーのマネジメント力にもバラつきがあり、順調なチームとそうでないチームの差が目立ち始めている」と、チーム単位でも同様の傾向が見受けられている状況を語っています。
この2点から推察できることは、個人・チームにかかわらず、「勝ち組」「負け組」の2極化が加速しているということです。これは業種業界問わず顕在化している大きな課題であると感じています。