As is / To be:あるべき理想の姿と現状の間にあるギャップを可視化する
「As is/To be」は、あるべき姿「To be」と現状「As is」のギャップを可視化し、そのギャップを埋めるための方法を考えていくフレームワークです。このギャップが「問題」であり、あらゆる問題解決の第一歩は、この理想と現状の比較から始まります。
使い方1 あるべき理想の姿を描く
自分たちの未来を想像し、ありたい姿を描きます。箇条書きで書き出すところから始めても構いません。まずは思い浮かぶ要素をすべて書き出し、後で整理します。
使い方2 現状を整理する
理想の姿に対して、今どのような状況にあるのかを書き出して整理します。売上や資源、スキル面などの定量的な情報に加えて、メンバーがどのような希望や感情を抱いているのかなど、定性的な情報も書きましょう。なお、理想の姿と現状は、片方ばかり考えるのではなく、双方を見ながら整理していくのがオススメです。
使い方3 ギャップを分析する
理想と現状との間にあるギャップを分析します。このギャップが「問題」となります。左の列でいえば、「売上が8,000万円/月不足している」「社員数(人手)が70名不足している」などが考えられます。この問題について、6W2Hやなぜなぜ分析を用いて深掘りします。
思考が加速する問い
Q. 理想までの到達度は今、何%くらい?
Q. 到達度を10%上げるためには、何ができる?
Q. 100倍の成果を目指すとしたらどうする?
Q. 重要な問題はどれだろうか?
CHECK POINT
□自分たちが到達したい、あるべき理想の姿を言語化することができている
□自分たちの現状について正確な状況を理解し、何が問題であるかを把握できている
□問題が存在しているという認識をチームで共有できている
6W2H:8つの問いを用いて問題を多面的にとらえる
思考を広げるために必要な、ベースとなる問いを網羅してくれるのがこの「6W2H」です。
6W2Hとは、「Who」「What」「Whom」「When」「Where」「Why」「How」「How much」の8つの疑問詞を用いて、物事やテーマ、問題、課題などを多面的に考察するフレームワークです。問題の分析や整理、情報収集する項目の整理、アイデア発想、あるいはヒアリングツールとして、情報を整理する必要があるいろいろな場面で活躍します。
テーマに対してさまざまな角度から問いを投げかけることで、思考が広がり、それまで気付いていなかった視点を得ることができるというメリットがあります。「問題についてもう少し多面的に考えたい」というときに、ぜひ活用してみてください。
使い方1 テーマを決める
テーマ(左の例では「問題」)を設定し、中央に記入します。
使い方2 情報を広げる
テーマに対して、8つの疑問詞のそれぞれに回答しながら、思考を広げていきます。各疑問詞で考えるべき点は、下記の切り口を参考にしてください。
思考が加速する問い
Q. 問題について正確に理解しているか?
Q. この問題が起きる典型的なシチュエーションは?
Q. なぜこの問題が生まれている?
Q. 無意識に目を背けている点はないか?
CHECK POINT
□テーマについて偏りなく情報を網羅できている
□テーマについて、文章で説明できるようになっている
□思考を広げた先に曖昧な情報がある場合は、その情報についても考えられている
なぜなぜ分析:問題の原因を深掘りする
「なぜなぜ分析」は、問題に対して「なぜ?」と繰り返し問いかけることで、原因を明らかにするフレームワークです。問題を解決するためには、その原因を正確につかむ必要があります。問題の表層部分しか見ずに対策を行うと、その場ではなんとかなっても、根本が解決できていないために問題が再発しかねません。解決しようとする問題の奥深くにある根本的な原因を明確にしたうえで、それを取り除くための対策を立てることが重要です。
なぜなぜ分析を用いて問題を深掘りすることはもちろん、このフレームワークを通じて「なぜ?」と問い続ける習慣や、思考する体力を養ってほしいと思います。
使い方1 問題を設定する
分析する問題を設定します。1回のなぜなぜ分析で扱う問題は、具体的な内容を1つに絞っておくことがポイントです。
使い方2 なぜ?と問いかける
「それはなぜ?」と問いかけ、問題が発生した原因を書き出します。
使い方3
書き出した原因に対して、また「なぜ?」と問いかけ、さらにその原因を探索します。
使い方4
以降、3を繰り返します。「この原因を改善することで、最初に掲げた問題の解決が可能なことを論理的に説明できる」という段階まで掘り下げます。また、左の例は1つの問題に対して1つずつ原因を書き出す形式ですが、複数の原因が考えられる場合もあります。そのときは、ツリー状に原因を分類し、それぞれの原因についてなぜなぜ分析を行います。
思考が加速する問い
Q. 前提を疑うことができているか?
Q. 問題についてどれくらい深く考えているか?
Q. この問題について最も詳しいのは誰?
Q. 似ている問題はないか?
CHECK POINT
□論理が矛盾せずに整理できている
□中立的に考えられている(主観に頼った属人的な分析になってはいけない)
□原因について、素直にありのままを書いている(評価を気にしてごまかさない)
コントロール可能/不可能:自分たちに変えられるものを知る
「コントロール可能/不可能」とは、自分たちの努力で解決できる問題と、自分たちではどうにもできない問題とを切り分けて考えるためのフレームワークです。
コントロール不可能なものとは、社会的な動きに支配される要因が絡んでいたり、業界ルールや取引先など、他者の意思決定に高い割合で依存するものです。一方、内部的な要因や、自分の行動や思考が原因の問題は、コントロールが利きやすく、解決の可能性が高いでしょう。
コントロール不可能な問題は無視してよいわけではありませんが、どうがんばっても変えられないものを議論したところで、時間がいくらあっても足りません。コントロールの可否で問題を分類することで、時間を有効に活用できます。実効性を重視して問題を抽出し、議論したい場合に使ってみてください。
使い方1 問題を書き出す
思い浮かぶ問題や、普段感じている困ったことを書き出します。複数人で行う場合は、付箋1枚につき1つずつ問題を書いていくとよいでしょう。
使い方2 分類する
左の例のような紙やホワイトボードを用意します。そこに、1で書き出した問題がコントロール可能か不可能かを分類します。この段階では、問題を挙げた人の判断で分類して構いません。
使い方3 内容を深掘りする
分類できたら、対話しながら深掘りしていきます。可能・不可能の分類は正しいかどうか、可能に分類した問題の中で特に気になるものはどれか、解決するにはどうすればよいのかなど、アイデアを出し合います。また、コントロール不可能でも、自分たちで打開できそうな発想がないか、一度は考えてみるとよいでしょう。
これまでの認識を超えるような発想が生まれると、とても意義があります。これらの切り口で対話することで、問題に対する多面的な理解を深められます。
思考が加速する問い
Q. 今、自分たちは何を考えるべきだろうか?
Q. コントロール不可能である主な要因は?
Q. 自社ではコントロール不可能な問題を他社はどうしている?
Q.コントロール可能な問題の解決策は?
CHECK POINT
□コントロール可能か不可能かの境界線が共有できている
□コントロール不可能な問題について、本当に不可能かを議論できている
□コントロール可能な問題の解決策につながるアイデアが出ている