10年間取り組んできたAppエコノミーづくり
SaaSのリーダー企業であるセールスフォース・ドットコムの功績のひとつに、AppExchangeというエコシステムを作り上げたことがある。ユーザーの業種や業務内容、課題に応じたソリューションをひとつの大きなシステムで提供しようとするのではなく、プラットフォーム上のアプリケーションで柔軟に対応しようとするありかたは、SI 文化の根強かった日本企業に新しい風と確かな成果をもたらした。
このエコシステムが成立するためには、セールスフォース・ドットコムと外部企業の強いパートナーシップが絶対条件となる。Salesforceプラットフォームを補完し、パートナーにもベネフィットを生む関係はいかにしてつくられているのか、御代さんに話を聞いた。
――まずは御代さんが現職に至るまでの経緯を教えていただけますか?
セールスフォース・ドットコムに入社して、今年で11年目になります。最初はOEMプログラムの立ち上げに携わり、プラットフォーム上でパートナーさんに新しいアプリケーションサービスを提供してもらうための「Appエコノミー」づくりを5年ほど行っていました。その後はプロダクトマーケのチーム立ち上げを経て、今年2月から現在のAppExchangeアライアンス部でアプリケーションパートナーさんのビジネスを支える仕事をするようになりました。
OEMプログラムを立ち上げた2009年当時はクラウドビジネスの黎明期で、「セールスフォース・ドットコムが新しいSaaSのプラットフォームをつくるらしい」という期待感がすごく大きかったですね。そんななか、クラウドをリードするのはセールスフォース・ドットコムだけじゃない、プラットフォーム上にはいろいろなアプリケーションを乗せられる、というコンセプトで始まったのがOEMプログラムでした。このプログラムを通して、クラウド上でサービスを提供したいと考える人たちに広く出会うことができました。
いま在籍しているAppExchangeアライアンス部のミッションは、セールスフォース・ドットコムのアプリケーションパートナーのビジネスをサポートして一緒に成長することと、新しいパートナーを増やすことです。具体的にはプラットフォーム上にアプリケーションを作ってくれるOEMパートナーや、Sansanやベルフェイスのように、すでにアプリケーションのブランドが確立されていて、SalesforceというCRMにつなげるとシナジーが生まれそうな企業をリクルートする活動を行っています。リクルートだけでなく、さまざまな取り組みによってパートナーさんのビジネスをSalesforceとともに成長させることが私たちのチームの仕事です。