以下、不動産テック7社・1団体は、不動産事業者に対して行ったアンケート「不動産業界におけるDX推進状況」の結果を発表。2020年6月に不動産テック6社・1団体が実施した「不動産業界のDX意識調査」と比較しながら、コロナ禍における1年間で急速に進行した、不動産業界におけるDXの現状について考察した。
- リーウェイズ
- UPDATA
- イタンジ
- サービシンク
- スペースリー
- ライナフ
- 不動産テック協会
事業者におけるDX推進の目的
回答者の90%超が何らかの「DX推進をしている」と回答。2020年6月に不動産テック6社・1団体が実施した「不動産業界のDX意識調査」(以下、「昨年調査」)では、「DX推進をしている」と回答したのは約60%だった。回答率で比較すると、DX推進は1年間で約1.5倍も拡大している状況となっている。
DX推進の目的としては、「業務効率化」が圧倒的多数で約85%にのぼる。
不動産事業者がDX推進で苦労している点
「DX推進で苦労している点」としてもっとも多かったのは「DX人材の確保ができない」、次点が「予算不足」。昨年調査でも、DX推進における課題として「知識・情報・ノウハウを持っていない」「人的リソースがない」「指揮をとる人がいない」など、「DX人材不足」と近似の回答が60%以上を占めていた。
昨年に引き続き、「DX人材の不足」はDXを推進していくうえで最大の課題となっている。
不動産事業者におけるDX年間予算
DXの年間予算については、「50万円以上」が回答者の67%、「100万円以上」でも回答者の50%以上だった。また、回答の18%は「1,000万円以上」となり、本格的なDX投資を行っている企業も20%近く存在することが判明した。
不動産業務DXツール導入状況と満足度
導入状況・満足度ともにNo.1のツールは、「Web会議システム」だった。
導入状況においては、従来ベーシックに使われていた「不動産基幹システム」「勤怠管理システム」に次いで、「VR/オンライン内見システム」「チャットツール」「CRM(顧客管理)システム」の導入率が高く、不動産業界においても非対面接客やテレワークが増加していると考えられる。また、「電子契約システム」は導入検討層が多く、これから導入が進むことが見込まれる。
なお、不動産業界特有のサービスにおける満足度で50%以上なのは、「IT重説のためのシステム」「AI査定システム」だった。
コロナ禍前後での不動産業務DXツールの導入状況
コロナ禍以降に導入された割合が高いツールは「Web会議システム」「オーナーアプリ/ポータル」で、次いで、「電子申込システム」「電子契約システム」「VR/オンライン内見システム」となる。いずれも、テレワークを行う、またはテレワークをサポートする性質のあるサービスである。
法改正にともなう電子契約移行の希望
電子契約へ「移行したい」と考えている不動産事業者が83%と、電子契約の需要は高まっている。「移行したい」と考える方のうち、すでに移行準備を行っているという回答が30%、移行したいがオペレーションやシステム選定に不安を感じる、という回答は20%だった。
アンケート概要
- 実施期間:2021年6月3日~6月25日
- 回答数:219社/237名
- 実施方法:インターネットによる調査