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移住支援サービス市場は前年度比20.6%減 コロナ禍でUIJターンは採用需要減/矢野経研調査

2021/07/21 05:00

 矢野経済研究所は、国内の移住支援サービスの調査を実施し、UIJターン転職支援サービス市場や空き家バンク市場、多拠点居住サービス市場の動向や、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

市場概況

 2020年度の移住支援サービス市場(事業者売上高ベース)は前年度比20.6%減の93億3,600万円となる見込みである。対象3市場のうち、市場規模の大部分を占めるUIJターン転職支援サービス市場が、新型コロナウイルス感染拡大による採用縮小の影響を受けたことで市場全体が縮小した。

 コロナ禍以降、テレワークが浸透し、都市部の企業に在籍したまま移住がしやすくなったことで、これまで移住する際のハードルとなっていた「地方移住(転職)によって収入が下がる」「地方企業の求人に希望する仕事がない」などといった不安が軽減され、年齢を問わずコロナ禍以前と比べて移住を検討しやすい環境となっている。また、同調査で対象とした各種移住支援サービスは、サービス提供事業者が展開する事業のなかで「地方創生事業」に位置付けられているものが多く、利益の追求よりも地域活性化や地方創生を重視したサービスが散見される。そうした市場の性質上、内閣府や各省庁、地方自治体などが推進する地方創生施策の動きが、移住支援サービスの需要拡大を後押ししている。

注目トピック

コロナ禍を背景とした地方移住に対する関心の高まり

 コロナ禍以降、全国版空き家バンクのサイト利用者は大きく伸長しており、毎月のサイトPV(ページビュー)数が前年比1.5~2倍となったサービスや、UU(ユニークユーザー)数が2倍となったサービスが見受けられる。

 また、2014年1月から2021年4月の期間中、Googleで「地方移住」のキーワード検索ボリュームは2015年度から2019年度にかけて細かく増減しながらも徐々に増加しており、国内で新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年4月頃からは急増している。

 近年は、官民による地方創生に向けたさまざまな取り組みによって、地方移住に対する世間一般の関心が高まっており、コロナ禍による大きな環境変化がより一層地方移住に注目を集める要因となった。

将来展望

 2021年度の移住支援サービス市場(事業者売上高ベース)は、前年度比15.4%増の107億7,000万円と予測する。

 市場別で見ていくと、UIJターン転職支援サービス市場においては、コロナ禍当初に求人市場全体で採用が大きく縮小して以降は徐々に採用意欲が回復しており、当該サービスの需要も同様に回復がみられることから、今後、求人市場全体の採用意欲の高まりにあわせて当該市場も回復していく見込みである。

 空き家バンク市場は、コロナ禍によって、東京圏の“密”を避けて地方移住を検討する人が増えたことや、リモートワークの浸透によって居住地を選ばない働き方を選択できるようになったことなど、住まい方を考え直す機会が増えたことで、地方の不動産情報などに対する関心が高まっており、市場も堅調に推移すると予測する。

 多拠点居住サービス市場は、コロナ禍直後の緊急事態宣言で人の移動が少なくなったことやテレワーク化が進んだことで多拠点居住サービスの利用が一時的に低下したものの、ホテルや不動産などの宿泊施設の当該サービス参入や、テレワーク場所としての多拠点居住への注目が高まっており、2020年度後半から市場は回復傾向にあり、今後もこの傾向が続く見通しである。

調査概要
  • 調査期間:2021年4月~6月
  • 調査対象:UIJターン転職支援サービス(人材紹介・転職情報サイト・地方副業マッチング)事業者、空き家バンク運営事業者、多拠点居住サービス事業者など
  • 調査方法:同社専門研究員による面接面談(オンライン含)、電話・電子メールによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用


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