総合人事・人財サービスを展開するアデコは、日本国内で「営業」、「販売」、「総務・人事」、「財務・経理」、そして「IT(エンジニア)」職に携わる正社員の一般社員(各職種300人、合計1,500人)を対象に、テレワークに関する調査を行った。
調査結果の詳細は、次のとおり。
緊急事態宣言前にテレワーク経験済み約2割 テレワーク率最多は「IT」35.0%、最小は「販売」1.3%
全国の正社員として働く一般社員1,500人に対し、「4月7日の緊急事態宣言よりも前に、テレワークをしていたか」と質問したところ、20.3%(305人)が「はい」と回答、79.7% (1,095人)が「いいえ」と回答。
職種別に見ると、テレワーク率がもっとも高かったのは、「IT(エンジニア)」の35.0%。逆に、もっとも低かったのは「販売」の1.3%で、対面での接客が業務の大半を占める職種でのテレワークの難しさが浮き彫りになった。
4月~5月の緊急事態宣言よりも前のテレワーク開始のきっかけはコロナ禍
4月~5月の緊急事態宣言前にテレワークをしていたと回答した305人に対し、テレワークをするようになったきっかけについて質問したところ、7割以上となる73.4%が、新型コロナウィルス感染症の拡大がきっかけであると回答した。職種による大きな差はなく、どのような仕事でも、新型コロナウィルス感染症が働き方の変化に大きな影響を与えたことがうかがえる。
テレワーク率最小職種は「販売」、次いで「映像」 最多は「IT」約7割が週1日以上テレワーク
全国の正社員として働く一般社員1,500人に対し、「緊急事態宣言中にどれくらいの頻度でテレワークをしたか」と質問したところ、64.0%(960人)がテレワークをまったくしなかった、もしくは週1日未満だったと回答した。4月~5月の緊急事態宣言中に週1日以上テレワークをしたのは全体の36.0%(540人)で、21.3%は週4日以上テレワークをしていた。
職種別に見ると、「テレワークはしなかった」と「週1日未満」という回答は「販売」と「営業」に多く、「販売」の96.7%、「営業」の68.3%が、緊急事態宣言中でもテレワークをまったくしていないか、もしくは週1日未満だった。逆にテレワークの頻度が高かったのは「IT(エンジニア)」で、67.3%は緊急事態宣言中に週1日以上テレワークをしており、半数近くとなる46.7%は、週4日以上テレワークで勤務していた。「総務・人事」もほかの職種に比べるとテレワーク率が高く、20.3%は緊急事態宣言中に週4日以上テレワークをしていた。
テレワークの頻度が低いと、テレワークに対する抵抗感が強くなる傾向
4月~5月の緊急事態宣言中に週1日以上テレワークをしたと回答した540人に対し、「今後もテレワークをしたいと思うか」と質問したところ、9割近くとなる86.9%が「はい」と回答した。職種ごとに見ても、すべての職種で「はい」が80%以上となった。
一方、テレワークをまったくしなかった、もしくは週1日未満だったと回答した960人に対して、「今後は、頻繁にテレワークをしたいと思うか」と質問したところ、6割以上となる61.8%(593人)が「いいえ」と回答し、すべての職種で「いいえ」の方が多くなった。
このふたつの結果から、テレワークの頻度が低いと、テレワークに対する抵抗感が強くなることがわかった。新しい働き方であるテレワークを定着させるためには、一定期間であっても集中的に頻度を上げてあげることができる環境を作ることが有効であるといえる。
「今後も頻繁にテレワークをしたいとは思わない」と回答した593人に対し、なぜ頻繁にテレワークをしたいと思わないのか質問したところ、全体としてもっとも多かった回答は「仕事に集中できなさそうだから」(28.5%)、次に多かったのが「仕事とプライベートの切り替えが難しそうだから」(27.2%)だった。
職種別に見ると、「総務・人事」と「財務・経理」の仕事に携わっている回答者は、テレワークに対して「仕事に集中できなさそう」「仕事とプライベートの切り替えが難しそう」という考えを、より強く持っていた。また、ほかの職種に比べて、オフィスで仕事をすることが習慣になっている回答者の割合が多く、心理的なハードルを下げる工夫が必要であることがうかがえた。
事務系職種は「ハンコ文化」やデジタル化の遅れがテレワーク実施を阻害か
4月~5月の緊急事態宣言中にテレワークをまったくしなかった、もしくは週1日未満だったと回答した960人に対し、「緊急事態宣言中に週1日以上テレワークができなかった(もしくはしなかった)理由は何か」と質問したところ、もっとも多かった理由は、「そもそもテレワークができない仕事をしている」(63.1%)だった。
一方、「勤務先の方針で認められなかったから」と答えたのは、ほとんどの職種で2割前後となった。緊急事態宣言中にテレワークをすることを認めなかった企業はそれほど多くなく、日本の企業は、全体としてはテレワークを推進もしくは容認する傾向であると考えられる。
テレワークを推進もしくは容認する企業が多いにもかかわらず、すべての職種で「そもそもテレワークができない仕事をしている」という回答が多かったことから、働く側が「自分の仕事はテレワークができない」という先入観を持っている可能性がある。
「財務・経理」の回答者は、4月~5月の緊急事態宣言中に週1日以上テレワークをできなかった(もしくはしなかった)理由として、「必要な整備・機器・システムが整っていなかったから」と、「捺印・押印が必要な書類や紙を用いた業務が多いから」を選んだ割合が、調査対象となったすべての職種の中でもっとも多くなった。請求書を始めとする紙の書類に対応しなければいけない業務が多いことや、機密情報の取り扱いが多い業務であることが背景にあると考えられる。「財務・経理」におけるテレワークを推進するためには、書類や捺印・押印の電子化をよりいっそう進める必要があるといえる。
調査概要
調査対象
調査実施時点で次のすべての条件に当てはまる、日本全国の20歳から59歳の男女
- 正社員
- 一般社員(役職なし)
- 勤続年数1年以上
- 新型コロナウィルス感染症の拡大を理由とする自宅待機が1時休業をしていない
サンプル数
1,500人(従業員1,000人増の企業に勤務:750人、従業員数1,000人以上の企業に勤務:750人)
調査方法
インターネット調査
実施時期
2020年6月25日~29日