ツール導入で組織の課題を棚卸しできる
――そもそも西川さんのチームでは導入するテクノロジーをどんな基準で選んでいますか。選んだテクノロジーを使い続けるための体制に求められること、そしてそのために重視していることは何でしょうか。
「ROIを高められるシナリオがあるか」「ツールから私たち自身がどれだけ学べるか」「取り組みをドライブする意思がある人間がいるか」の3つです。この中では3点めがもっとも重要です。MSC導入については、私ではなく、インサイドセールスとフィールドセールスの両方を経験したことがある人物が推進役になりました。活用時の戦略では、1年から2年のスパンで見ることを重視しています。というのも、ツールの導入で、これまでのワークスタイルを新しいものに変え、定着させるのにある程度の時間が必要になるからです。
――テクノロジー活用は企業やチームにどんな効果をもたらすと思いますか。
ツールを導入すると、ツール独自の切り口で組織に向き合うことになるので、組織間の課題の棚卸しができると考えています。MSCの場合はツールを活用することになるマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスまでをワンチームにすることができました。
長期的に見ると、テクノロジーは企業活動の無駄を排除することに役立ちます。人間でなければできない業務に集中できる仕組みを自分たちでつくるか、流れに身を任せるかだとすると、選択するのは前者です。他社が成功するのを見てからではなく、自分たちでツールの価値を判断し、実行することが組織の戦略上重要だと思います。
――テクノロジーで「量」はそれなりに担保されると考えられますが、営業の質を高めることにテクノロジーはどう活用すればいいのでしょうか。
MSCに関しては、最初は難しいこと抜きでデータを増やすことです。分析やテストをするにも母数がなければ判断ができません。最低でもメールを1,000通ぐらい送ったころから傾向が見えてくるので、それまでは焦らないで我慢することですね。人数が多ければ多いほど、母数を早く集めることができます。たとえば、私たちの組織にインサイドセールスは7人います。毎日メールを平均20通は送るとして、1ヵ月で約3,000通の母数を集められます。質は量のあとからついてきます。
――最後にこれからMSCに期待すること、そしてユーザベースとしてチャレンジしたいことについて教えてください。
個人を識別できる情報を排除し、データを予測に活用できると面白いことができると思います。たとえば、Gmailがサジェストワードを表示するように、お客様の商談ステージに応じてメールのテンプレートを提案してくれれば、効率的にコミュニケーションができるようになると思います。
ユーザベースとしてのチャレンジは、SPEEDAで「経済情報で、世界を変える」を実践することですね。経済情報にワクワクする人材になり、お客様に向き合ってほしいと思います。SPEEDAには、その会社の成功を自分なりに成功を語れるデータが揃っていますから、プロダクトを活用した時にお客様がどう成功するか、その世界観にワクワクできる人材が揃った組織にしたいです。また、そんな社内の雰囲気がお客様に伝播すればうれしいです。
入口の収益を作ることに加えて、出口のお金をどう使うかを科学して、プロ集団としてお客様とともに良い経済をつくることを進めていきます。
――ありがとうございました!