KDDIは、セキュアな環境で精度のある社内文書検索と回答生成が可能なデータ活用アシスタント「KDDI Conata Data Agent」の提供を開始した。

背景
企業や自治体において生成AI導入による業務効率化のニーズは高まっており、業務への活用が進んでいる。生成AIを効果的に業務で活用するには、社内の経験や知見などをデータとして適切に保管・蓄積し、活用することが重要になる。
一方で、これらを実現するためには、開発やデータ収集など技術的な課題が多岐にわたって存在する。また、技術課題を解決する上で社外のサービスを活用するには、「社外システムに社内情報を連携するのはセキュリティ上心配である」「生成AIと社内データをより安全・安心な形で連携したい」といったセキュリティリスクを懸念する顧客の声もある。
そこで、KDDIとフライウィールは、セキュアな環境でAIを活用し社内文書検索を可能にするデータ活用アシスタント「KDDI Conata Data Agent」の開発に至った。
概要
KDDI Conata Data Agentは、フライウィールの情報検索技術と生成AIを活用したデータ活用アシスタント「Conata Data Agent」とKDDIの閉域網サービス「KDDI Wide Area Virtual Switch 2」を組み合わせることで、点在している社内文書の横断検索と精度のある回答の自動生成を、セキュアな環境で実現する。
Conata Data Agentでは、顧客が「ある企業の案件確度を上げるにはどのようなアプローチが必要か」といったプロンプト(指示文)を入力すると、生成AIが社内データを瞬時に参照し、チャット形式で回答を生成する。
KDDI Wide Area Virtual Switch 2は、広域に配備したSDN装置によって仮想化されたネットワーク。パブリッククラウドにインターネットを経由せず閉域で接続可能となり、顧客は安定性と保守性の高い帯域確保型のネットワークを利用できる。
特徴
専門知識がなくとも社内データをAI活用
RAG(Retrieval-Augmented Generation)などの情報検索技術により、データ分析の専門的知識がなくとも、社内データの効果的な活用が可能になる。
データ収集により利用者の手間を軽減
上記技術によって、膨大な社内データから必要な情報を見つけ出すという、これまで担当者が行っていた一連の業務の工数・時間を削減する。
自動で利用者の求める回答にあったデータを探し収集するため、顧客はデータの整理や資料アップロードを行う必要がない。
セキュアに利用可能
KDDIの閉域網サービスを活用することで、情報漏洩やセキュリティリスクを心配することなく、生成AIサービスを利用できる。
プラン
1.資料検索プラン(情報システム部門向け)
自然言語で質問を入力するだけで、さまざまな社内情報の中から必要な情報にアクセスする。これにより、さまざまな形式の社内規定やFAQから、情報を探し回る必要がなくなる。
2.横断検索プラン(営業部門向け)
オフィスドキュメントやテーブルデータを横断的に検索し、社内に散在した情報を一元的に検索が可能になる。KDDIの閉域網サービスと接続しており、セキュアな環境下で顧客の情報を取り扱うことが可能になる。
「KDDI Conata Data Agent」の社内活用事例
KDDIは2024年11月1日から、KDDI Conata Data Agentを活用した社内資料の検索の効率化および生産性向上に関する実証実験(以下、本実証)を実施した。本実証では、これまで週にひとりあたり8時間ほどかかっていた社内資料の検索、分析、資料作成などの業務の作業負荷を、約3割削減できるといった効果を確認した。
2025年7月18日から、実証の結果を踏まえ、社内の法人営業部門においてKDDI Conata Data Agentを先行導入し、顧客ニーズの分析や提案資料の骨子作成などにおいて業務の効率化を実現している。導入したユーザーの8割以上が調査時間の短縮や情報検索の容易さを実感しており、「問い合わせ先がわかりやすくなった」「回答の比較や提案内容の検討が効率化された」といった声も寄せられた。