営業担当も「質」を意識 データ活用が訪問数増加に寄与
──そうやって基盤が整ってきたと。BIは現場で活用されているイメージですか。
全体的な業績に関する情報や売るべき商品のデータはリアルタイムで共有されていたのですが、エリアごとに販売する商品やお客様も違うため、そういった細かい部分に対応したデータの引き出し方が難しかったんですね。現在は、営業担当者が自分で引き出せるようになっていて活用率もほぼ100%です。
──すばらしいですね。
定性的な自分の感覚をデータで「答え合わせ」したいと考える営業担当者は多く、DOMOはそのニーズに合致したのだと思います。

──みなさんがよく見ているデータはどのようなものですか。
業績に関するデータはもちろんですが、新商品や重点商品等の推移を一定の期間や前年比、数年単位で見ています。というのも、担当する顧客によって、結果として表われる期間がかなり違うんですよね。たとえば、いまの営業活動が翌月に結果として反映される営業もいれば、いまの活動が1年以上先の結果として現れる担当者もいます。データ自体は以前からありましたが、複数年の比較となると専門担当者への依頼が必要でした。それが解消されたのは非常に便利です。
また、個人の利用に加えて、各支店や商圏ごとのダッシュボードも存在しています。支店長クラスになると、全社と自商圏全体の数字の変動や内訳を把握するために活用していますね。

──いまのお話も非常に印象的で、ツールの活用を通して組織の意識や文化の変化もあるのかなと感じています。定性的な変化についてほかにもうかがえますか。
先を見て戦略を立てる力がついてきていますね。育成にも活き始めているかなと思います。たとえば、新入社員の研修にもツール活用のプログラムを導入しており、若手はツールがある前提で営業として成長していくことになります。
──一方でベテランの方々なども多くいらっしゃると思います。定着において、難しかった点はありますか。
正直苦労しているメンバーもいると思いますし、われわれもその点については試行錯誤をしている状態です。
──具体的にどういった活用支援を行っていらっしゃるのですか。
たとえば、説明会を行うだけではなく、導入後のフォロー研修を行うようにしています。遠方の支店は一部オンライン対応としましたが、近郊やとくに活用率が低かった支店には直接訪問し、現場の困りごとに応じた研修を提供しました。内容は、事前にヒアリングした各支店で困っている点を中心に作成しています。また、企画側のメンバーには営業担当者たちが活用の先でいかに成果につながっているかまで把握するように伝えていますね。

──Sales Tech活用による成果を追いかけるのはとても難しいですよね。試していることはありますか。
最終的な営業成果との連動はこれから測定しますが、手前の段階として、訪問件数の増加につながっているケースが見えてきました。たとえば、理想の訪問計画と現実の状況、社内での事務にかかっている時間などをアンケートで明らかにし、ツール活用による業務改善の提案を行っています。その結果、どの程度理想の訪問計画に近づけたのかを可視化するかたちです。