テクノロジーを活用して、暗黙知を見える知識に
──組織づくりや育成においても、テクノロジーの活用は不可欠ではないかと感じます。どのようなポイントで使っていくと、より効果的でしょうか。
白須(チームスピリット) 尾形先生が提唱されている「中途採用者の組織再適用課題克服のポジティブ・スパイラル」のうち、「スキルや知識の習得」「暗黙のルールの理解」「人的ネットワークの構築」の領域において価値を提供できると考えています。チームスピリットが現在開発中のイネーブルメントソリューションでは、中途採用者の確実な早期立ち上がりを目的とした知識・スキルの習得を支援するだけでなく、将来的には組織内の日常的コミュニケーションから、暗黙知やルール、Know-Whoの情報を抽出し、業務に必要な定型・非定型の知識や情報の獲得に役立てるソリューションにしていきたいと考えています。

白須(チームスピリット) また、今後もテレワーク環境での組織運営は当たり前になるため、抽出された知識を蓄えたチャットボットがあると、現場も楽になるでしょう。新人はわからないことをまずチャットボットに聞いて、それでもわからなければ周りの人に聞く、という仕組みがあれば、忙しい現場でもお互いハッピーに育成が進むのではないかと思います。
尾形(甲南大学) 仕事の進め方に関して暗黙のルールを抱えている企業が多いため、中途社員の方も苦労するんですよね。それを言語化してマニュアル化するにあたって、チームスピリットさんが提供されるテクノロジーが役立つと思います。
また、社内に蓄積したデータを分析して、中途入社のオンボーディングの何に課題があるのかを導くこともできると感じています。課題の傾向があると思うので、そこから効果的なオンボーディングの施策を立案することも、生成AIを使って容易にできるでしょう。
これは非常に効率的なやり方なので、今後広まっていくと思います。一方で、この方法だとあまりにも人間味がなく、「本当に育成はそれでいいのか」と疑問に思う部分もあります。働くうえでは人間的なつながりが大事になることも多い。そのバランスは気をつける必要があるのではないでしょうか。

──最後に、読者に向けてメッセージやアドバイスをお願いします。
尾形(甲南大学) 中途採用の社員に対して、マネージャーは「経験者だから、任せてあげよう」という、距離をとる態度になりがちです。しかし、中途入社こそ積極的にコミュニケーションをとっていく必要があると私は思います。オンボーディングにおいて重要な「ウェルカム行動」を意識して働きかけるべきでしょう。
もっとも大事なのは、「今働いている人に、活き活きと働いてもらう」ことです。そうでないと、新しく入ってきた社員も活躍できません。若い世代の離職理由をインタビューしていると、5年先輩の疲弊した姿を見て「今後ああいうふうになるのは嫌だと思って辞めた」という声が多いんですよ。
逆に言えば、先輩や管理職がみんなかっこ良く働いていたら、「自分もそうなりたい」と前向きに仕事に取り組めるはずです。特別な策を打たずとも、自然と成長して長く働いてくれるでしょう。これを「活き活きスパイラル」と呼んでいます。
ですから、会社はまず管理職や、今現場で働く人が、幸せに働けているか。そのための充実したサポートが整っているか、という視点で組織を見直す必要があると思います。組織の魅力づくりこそ、最高のオンボーディングです。

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